介護に貢献した“相続権のない”親族は、「寄与分」を請求できる
では、夫の親を一生懸命介護したのに、「遺言書」に記載がなければ妻は報われないのでしょうか?
改正民法で2019年7月から、相続人でない親族でも、無償で介護するなどの労力で貢献した場合、それを「寄与分」と認め、相続の開始後に相続人に対して金銭(特別寄与料)を請求できることになりました。対象となるのは、6親等以内の血族と3親等以内の姻族です。
65歳以上の世帯の貯蓄額の中央値は1,588万円(2021年総務省家計調査)。仮に、これを3人の相続者で分けると1人約500万円。財産が多額だと、寄与度の評価も大きいかもしれませんが、嫁の寄与度が、相続する人の額を上回ることはないでしょう。
ですから、かなり献身的に介護しても相続財産の1割程度でしょうが、こういう制度があることを知っておくと、介護への心持ちも変わってくるかもしれません。
遺産を巡り裁判沙汰になる「争族」が年々増加
司法統計によると、相続に関する裁判所の相談件数は2000年には年間8,889件程度だったのが、2019年には1万5,842件に達しています。20年間で約1.8倍に増えているのです。
しかも、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件の3分の1は遺産額1,000万円以下。1,000万円と言えば、相続税がかからない範囲のお金で、高齢者の貯蓄額の中央値から見ればけっして大きい額とは言えません。
でも、この金額を巡って兄弟親族が裁判で争っているのです。二度と兄弟仲の修復もできなくなるかもしれないこんな争いを起こさないためにも、少しでも親に財産があるなら、「遺言書」ではっきり遺志を伝えておいてもらうべきです。
荻原 博子
経済ジャーナリスト
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画