(※写真はイメージです/PIXTA)

「新NISA」のスタートとともに広がりつつある“投資ブーム”。国をあげて推奨している「長期投資」ですが、“家計の専門家”として活躍する経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「老後のために、やってはいけないことのひとつ」と断言します。萩原氏の著書『老後の心配はおやめなさい』より、投資が孕むリスクについて、わかりやすく解説します。

「長期投資」で、資産が増える?

「起業」「海外移住」ときたら、次に気をつけなければならないのはなんでしょう?

 

今流行りの「投資」です。

 

近年、日本では国をあげて、「投資」を勧めています。

 

特にオススメされているのが「長期投資」で、金融庁のホームページを見ると、「iDeco(イデコ)」や「つみたてNISA(ニーサ)」で、コツコツと投資していけば、老後にお金に困ることはないというような書きっぷり。ご丁寧にも、右肩上がりという、矢印が右のほうに上がっているイラストまでついています。

 

けれど、本当に、長期投資なら、老後資金は増えていくのでしょうか。

 

30年後を予想せよ

皆さんは、1ヶ月後の自分がどうなっているかということは、おおよそ見当がつくでしょう。けれど、30年後の自分がどうなっているかというのは、どの程度まで予想することができるでしょうか。

 

たぶん、30年後のことなど、見当もつかないという人がほとんどでしょう。

 

それもそのはずで、この30年の間には、アメリカのニューヨークやワシントンで同時多発テロが起き、ユーロという共通通貨を使う巨大経済圏がヨーロッパに出現し、リーマンショックが起き、東日本大震災が起き、世界中に新型コロナが蔓延するといった、誰も予想できなかったことが起きています。

 

ロシアのウクライナ侵攻だって、ほとんどの人が予想できませんでした。

 

「投資」も、同じです。

 

30年後の経済がどうなっているのかなどということを予想できる人は、実は1人もいないのです。

 

30年前には、「給料は右肩上がりに上がるもの」というのが日本の常識でした。それが、右肩下がりになるなどとは、誰が予想したでしょうか。

 

貯金でも、30年前には金利が3パーセントで、まさかそれが0パーセントになるなどとは、誰が予想したでしょうか。

 

さらに、「100年安心」な年金が登場し、それがわずか10年余りで破綻するなどということは、誰が予想出来たでしょうか。

 

誰も長い先のことは予想できません。なのに、なぜ国をあげて皆さんに、「長期投資なら大丈夫」などと勧めるのでしょうか。

次ページ「将来に備えた投資」が意味する“危うさ”

※本連載は荻原 博子氏による著書『老後の心配はおやめなさい』(新潮社)より一部を抜粋・再編集したものです。

老後の心配はおやめなさい

老後の心配はおやめなさい

荻原 博子

新潮社

親の介護に必要な額が3000万円?! 準備すべき自分の老後資金は2000万?! わずかな年金だって破綻したらどうする?! 増えない貯金、揉める相続、かさむ医療費……その心配、本当にするべきなのでしょうか。不安になるのは知らない…

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