(写真はイメージです/PIXTA)

2024年から大幅に制度拡充が行われる「新NISA」。制度開始によって、日本株式市場への個人の資金の流入を期待する声が上がっています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏が、新NISAのメリットと、現行NISAが失敗していた点について解説します。

新NISAでは日本株式に新規資金?

2024年から大幅に制度拡充される少額投資非課税制度。いわゆる新NISAがスタートするまで1カ月に迫ってきた。

 

今回の制度拡充によって、現行のつみたてNISAと一般NISAは併用不可で選択制だったが、それぞれを継承した「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用可になる。

 

しかも年間投資枠は「つみたて投資枠」は120万円と現行のつみたてNISAの40万円の3倍に、「成長投資枠」は240万円と現行の一般NISAの2倍に拡大される。

 

投資限度額をみても成長投資枠のみだと1,200万円までで、「つみたて投資枠」と合わせた全体で1,800万円、に大幅に拡大された。また、「成長投資枠」では一般NISAと同様に上場株式を直接買い付けることが可能となっている[図表1]

 

このように投資枠が大幅に広げられ、さらには制度を利用する人もより増えることが見込まれる中、新NISAを通じて個人の資金が日本株式市場へ流れることを期待する声がある。

 

[図表1]現行NISAと新NISA

現行のNISAが日本株の追い風にならなかった3つの理由

そもそも10年目を迎えた現行のNISAでは、日本株式市場への資金流入、特に新規資金の流入は限定的であったと推察される。そして、その理由は主に次の3つ考えられる。

 

  1. 日本株式よりも外国株式、
  2. 短期売買が多かった、
  3. 課税口座からの買い替え中心。

 

現行のNISAは口座数が増えるにつれて買付額も増えており、2022年までの累積で30兆円となっている[図表2]。商品別には投資信託が17.6兆円、ついで上場株式が11.5兆円、残りがETFとREITとなっており、投資信託と上場株式の買付がほとんどである。

 

一つ目の理由の「日本株式よりも外国株式」は主に投資信託についてである。

 

[図表2]NISAの稼働口座数と累積買付額の推移

 

実際に投資信託の純資産総額をタイプ別にみると、2014年からだとまず外国株式のアクティブ型投資信託の純資産残高が大きく増えている[図表3]。さらに外国株式のインデックス型投資信託も2020年以降、右肩上がりで増加している。

 

外国株式のインデックス型投資信託の純資産総額は2019年末に1兆円しかなかったのが、足元では12兆円を超えてきている。

 

2020年あたりから、つみたてNISAを中心に稼働口座数も増加している。12兆円のうちNISAからの買付は一部だが、つみたてNISAや2019年の「老後2,000万円問題」が外国株式のインデックス型投資信託の認知、普及のきっかけになった。

 

その一方で日本株式のアクティブ型投資信託の純資産総額は2014年から5兆円から7兆円の範囲で推移しており、NISAの影響はほぼなかったと言える。また、日本株式のインデックス型投資信託については、外国株式同様に2020年以降、増加基調ではある。

 

しかし、2019年末に2兆円程度だったのが今秋にようやく3兆円超えてきたくらいの緩やかな増加である。このことから、NISAから投資信託経由で入ってきた日本株式への新規資金は、外国株式と比べてかなり少額であったと推察される。

 

[図表3]投資信託の純資産総額の推移
次ページ短期売買が多かったことによる上場株式への影響

あなたにオススメのセミナー

    ※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
    ※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月21日に公開したレポートを転載したものです。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ