空家等対策の推進に関する特別措置法が改正ー対策は益々強化へ
空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、新たに定義された、管理不全空き家を自治体が指定し、行政指導を行っても改善されない場合、固定資産税の減額措置が解除されるなど、対策が強化されることになった。
一方空き家の利活用についても様々な取り組みが進みつつあり、特に、自治体と民間事業者が連携して空き家を掘り起こし、所有者にアプローチして伴走型で利活用をサポートする取り組みが効果を上げてきている。
こうした取り組みを全国的に推進していけば、将来的に空き家の解消が期待できる状況になってきた。
「空き家にしない」ためにー「住み継ぐ」文化の根付く社会を
ただし、本来、空き家にしないことが重要なはずである。空き家になる前に、他の世帯が住み継ぐ、それが当たり前の社会にしなければならない。
持ち家に自ら居住しなくなっても、他の世帯が居住したり、利用したりすることで空き家にすることなく、住宅を長期に活用する社会、住み継ぐことを前提にした社会を構築することである。
これまでは、新築で取得した世帯のみが居住することを前提に住宅が供給され、取得されていたと言えるのではないか。その子世帯が住み継ぐことでさえ希薄ではなかったか。特に一戸建持ち家においてそれが顕著であった。
一世帯のみの居住期間耐える住宅でよければ、資産価値が低下することに無頓着であっても仕方ない。当然、メンテナンスに手を掛けようとはしない。居住期間が終了する頃には老朽化して住宅としての価値、魅力を失う。別の世帯が住み継ごうとしても改修にかなりのコストが伴う。というのがこれまでの住み継ぐことを前提としていない社会であり、結果として空き家の増加を招いたと言えよう。
そうではなく長期に活用できる住宅であれば、取得した世帯が居住しなくなっても資産価値が残る。その資産価値を生かして、売却によって資金を得たり、賃貸化して住替え先の費用を賄ったりといった形で活用することが可能だ。
資産価値を生かそうとすれば、当然のように居住期間における住宅の維持保全に力を入れるだろう。住み継ぐ世帯も、資産価値のある質の高い既存住宅に無理なく居住することができる。
このような社会が、住宅を長期に活用する社会、住み継ぐことを前提にした社会である。これを築くためには、次の4つの取り組みが必要だと考える。
1. 住宅ストックの質を長期活用できるものへ
1点目は、住宅ストックの質を長期の活用に耐えるものにしていくことである。
これまでも、国の認定長期優良住宅制度がそのような住宅の供給を後押ししてきた。今後さらに既存住宅においてそれを強化し、ストックの質を長期に活用できるものへと抜本的に底上げしていく。
それには、居住世帯によるリフォームや、売買の際に行う改修の機会を捉えて、長期の使用に耐える性能に向上させるよう促す必要がある。金融機関による資金面の支援も重要であろう。
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