一難去ってまた一難……今度はコロナ禍が家賃収入を直撃
次はよいテナントに入ってほしいと切実に願った。だが、1件決まりかけたところで、世間はコロナ禍になった。
家賃収入が途絶えた。リモートワークの普及で、人々はオフィスに足を運ばなくなった。人の流れはなくなり、結果として、テナントは次々と退去し始めた。それでも管理費や積立金はMビルに毎月支払う必要があった。
「Mビルさんといろいろあったり、テナントが入らない時期が続いたりして、ここらで“潮時かな”という感じになりました」と恵子さんは言う。
好立地ではあったが、高額な管理費がネックとなり、テナント入居が難航
小林さん一家が所有していた2つの区画は、地下鉄の駅に直結していた。周辺はオフィス街で飲食店は少なく、テナントに困ることはないと思われた。
「立地的には申し分のない場所だと思っていました。でも、実際はなかなか厳しかったです」(恵子さん)
問題は稼働率にあった。Mビルの都合で、平日の営業時間は朝8時から夜10時まで、土日祭日は休業。入り口のシャッターが閉まると人通りがなくなる。ビル前の道はかつて大学病院への近道だったが、再開発でその通行人もいなくなった。
さらに、Mビルの高額な管理費が家賃を押し上げる要因になった。保証金は家賃の10か月分で、零細企業や個人事業主には手が出ない。
「入るときも出るときも、すごくお金がかかるということで、大手しか借り手がつかない状態でした」(恵子さん)
そして、Mビルの関連会社が間に入っている関係で、原状復帰費も高額。内装だけでも1,000万~2,000万円になる。もしも裁判になった悪質テナントのように原状復帰しないで出ていかれてしまうと、小林さん一家が負担することになってしまう。したがってオーナーとしては、ある程度の敷金は預からざるを得ない。
コロナ禍が続き、テナントは思うように決まらなかった。
「主人はあそこがあれば暮らしていけるだろうと思っていたのでしょう。亡くなったあとにこんな苦労をしているとは、思ってもみなかったでしょうね」(芳江さん)
松本 隆宏
ライフマネジメント株式会社
代表取締役
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