相続後に待ち受けていたのは、悪質テナントとの裁判だった
謙さんが亡くなったあとも交渉は続いた。弁護士を介しても、「家賃交渉には一切応じない。10円でも値上げは拒否する」と相手が威圧するため、裁判になった。調べてみると、相手は他の場所でも同じようなトラブルを起こしては裁判沙汰になっている常習者だった。
2018年8月、裁判は小林家が勝訴した。しかし、相手は「立ち退きを迫られた」と主張し、何も片付けずに去っていった。もちろん立ち退きを迫っていない。小林さん一家は原状復帰の費用として、保証金を充当することにし、その状況を大手デベロッパーであるMビルに報告した。
原状復帰費用の負担に加え、デベロッパーの嫌がらせが追い打ちをかける
「原状復帰もせずテナントに出て行かれてしまった」とMビルに告げると、Mビルは「うちに話を通さずに勝手に原状復帰の工事をされては困る」と言い出した。
「では、おいくらでやっていただけますか?」と恵子さんが聞いたところ、とんでもない金額を提示してきた。手元にあった保証金よりもはるかに高額だった。
小林さん一家は自力で原状復帰することにした。しかし、Mビルの嫌がらせともいえる対応があった。
「電気系統1つ触らせてもらえないし、図面すら見せてもらえませんでした。業者にエレベーターを使わせない、という話も聞きました」(恵子さん)
それでも、自分が所有する区画であるので、なんとか原状復帰はできた。
例の悪質テナントはMビルの原状復帰費用が高額であることを知ったうえで、借りては投げ出す、というやり方の常習犯だった。
「他でも同じように裁判になっているらしく、いろいろと手段を知っているんです。弁護士さんは、係争すれば何とかなるとは言いますが……その金額で済むのなら、これ以上こちらに関わらないという条件を判決文につけてもらって裁判を終わりにしたんです」と芳江さんは言う。
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