医療保険の給付金は、「高額になりにくい」のが弱点
(五十嵐有司):なぜでしょうか?
(後田):医療保険では、何かあったときに受け取れる給付金が高額になりにくいからです。例えば、入院給付金の平均は1件当たり約9万3,000円、手術給付金は9万5,000円ほどです※。
※生命保険協会「年次統計(2021年度)」の「保険金・年金・給付金明細表」を基に試算
こうした数字を知ると、どうしても医療保険で備えるべきだとは思えないんです。例えば、入院したり、手術したりしたときには100万円くらいかかるのが普通で、入院給付金や手術給付金の額も1件当たり100万円ほど、といった事実でもあれば検討してもいいですけどね。
(五十嵐美香):ケガや病気で入院したときなどに、9万円や10万円でももらえると助かると思いますけど。
(後田):確かに、入院したときに給付金を受け取ることができればありがたく感じるかもしれません。ただ、私は「五十嵐家には、既にたくさんお金がある」と思っているんです。
「自分のお金」があれば、保険は要らない
(後田):終身保険に、少なくとも400万円のお金が貯まっています。医療保険に加入しておくと、確かに入院時や手術時に9万~10万円程度の給付金を受け取れるかもしれません。そうであるとしても、現金400万円があるなら、「それくらいのお金ならとっくにある。だから、わざわざ医療保険に入らなくてもいい」と言えると思うんです。
(五十嵐有司):そうかぁ。
(後田):終身保険を完全に解約しなくても、減額といって部分解約する手もあります。そうすると数十万円から100万円くらいは簡単に用意できます。
医療費を払うとき、お金の出どころは関係ありませんよね。病院の窓口では、保険会社から振り込まれたお金しか受け取ってもらえない、なんてことがあれば、話は別ですが、そんなことはなくて、お金であれば何でもいいわけです。だったら、「自分のお金で対応できる」「数回入院したってお金が余るくらいだ」と、判断するんです。
後田 亨
オフィスバトン
「保険相談室」代表
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】