■登場人物
■後田 亨 :オフィスバトン「保険相談室」代表
■五十嵐有司(40歳):会社員、五十嵐美香(40歳):パートタイマー
子ども(4歳)1人の3人家族/「医療保険」「外貨建て終身保険」「学資保険」など、5本の保険に加入中/月々の保険料は約8万円(ドル円の為替レートで変わる)
「老後資金の準備」として終身保険を加入したが…
(後田):では、終身保険の見直しに入ります。これで、いろんな問題がスッキリするかと思っています。
加入されている「米ドル建て終身保険」は、死亡時の保険金額(死亡保障)が15万ドル、今の為替レートなら、2,100万円ほどですね(1ドル=140円)。
保険金額:死亡時15万ドル(夫・有司の死亡時に支払われる)
保険料:月337.76ドル(46歳まで払う)
有司さんが31歳のときに加入なさっていて、保険料は毎月337.76ドル、今の為替レートだと、保険料は毎月4万7,000円強、この保険料を有司さんが46歳になるまで、あと6年支払うことになっています。
「終身保険」は死亡保障だけでなく「解約返戻金」がある
(後田):最初に確認させてください。この終身保険は、販売員から「老後資金を準備できます」と提案されたのではないでしょうか?
(五十嵐有司):はい、そうです。
(後田):やはり、そうでしたか。ただ、この保険には「一生涯の死亡保障」もありますから、有司さんが高齢になってから亡くなった場合でも、ご遺族には2,000万円を超える保険金が支払われるわけです。でも、そのような保障が欲しいわけではないんですよね?
(五十嵐有司):はい。そこまでは必要ないと思います。
(五十嵐美香):こういうのってよくあることなのでしょうか?
(後田):はい。「終身保険」は一生涯の死亡保障があるだけでなく、解約の時期によっては、まとまった額のお金が払い戻しされます(解約返戻金)。そのため、老後資金を貯める手段として提案されることが多いんです。
営業の人に、「掛け捨てではありません」とか「外貨で運用するので、円建ての保険よりお金が増えやすい」と言われたのではないでしょうか。
(五十嵐有司):はい、今、おっしゃった通りの説明でした。
終身保険は「コストの高い貯蓄」がセット
(後田):なるほど。「保障があってお金も増えるのであれば、安くない保険料でも利用する価値がある」と思われた。とはいえ、毎月5万円近い保険料となると、やはり負担が重いと……。
(五十嵐美香):はい。保険料の支払いがきつくなってきています。
(五十嵐有司):だから、後田さんが僕の立場だったら解約すると、おっしゃるわけですか。
(後田):『投資の大原則』(日本経済新聞出版)という本 ── バートン・マルキールとチャールズ・エリスという投資の世界で高名な人たちが書いた本ですが ── その中に、こんな記述があります。
「終身保険はあなたが必要とする生命保険機能に、コストが高い投資プログラムが付け加えられている」
つまり、死亡保障と貯蓄部分がセットになっていて、販売手数料などの諸費用が非常に高い。手数料などが高いと貯蓄に回るお金は少なくなりますから、貯蓄には向かない仕組みです。
(五十嵐有司):「米ドル建てだから有利だ」と言われたんですけどね。
(後田):確かに、日本よりアメリカのほうが金利は高いですから、円建ての商品より、米ドル建ての商品のほうが、ドルベースでのお金の増え方は大きくなります。仮に、定期預金なら、円だと金利が0.1%もあればいいほうなのに、ドルだと5%の商品もあるとか、そういうイメージですよね。
(五十嵐有司):ええ、そうですね。
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