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日本銀行が11月13日に発表した企業物価指数によると、2023年10月の国内企業物価の前年比は0.8%(9月:同2.2%)と10ヵ月連続で伸びが鈍化しました。本稿ではニッセイ基礎研究所の安田拓斗氏が、国内企業物価指数の前年比上昇率の今後の展望について解説します。

国内企業物価指数(前年比)の伸びは0%台まで鈍化

 

日本銀行が11月13日に発表した企業物価指数によると、2023年10月の国内企業物価の前年比は0.8%(9月:同2.2%)と10ヵ月連続で伸びが鈍化した。

 

内訳をみると23類別中、18類別が上昇し、5類別が低下した。

 

飲食料品は前年比4.9%(9月:同5.7%)、石油・石炭製品は同0.7%(9月:同3.2%)とそれぞれ伸びが鈍化した。また、鉄鋼は前年比▲3.9%(9月:同1.1%)とマイナスに転じ、電力・都市ガス・水道は政府による電気・ガス価格激変緩和対策により同▲20.0%(9月:同▲17.7%)と4ヵ月連続でマイナスとなった。

 

国内企業物価の前月比は10月に▲0.4%(9月:同▲0.2%)と2ヵ月連続でマイナスとなり、夏季電力料金調整後も同▲0.3%と2ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると23類別中、14類別が上昇し、9類別が低下となった。

 

電力・都市ガス・水道は政府の電気・ガスの激変緩和措置の補助金額が引き下げられたことで前月比0.3%(9月:同▲2.1%)とプラスに転じたが、石油・石炭製品が同▲5.1%(9月:同▲4.2%)と2ヵ月連続でマイナスとなり全体を押し下げた。

 

 

石油・石炭製品の前月比が2ヵ月連続でマイナスとなったのは、9月7日以降ガソリン等の燃料油価格に対して新しい激変緩和措置が実施されたためである。

 

激変緩和措置は2023年5月29日の週以降、補助率が引き下げられてきたが、新制度は168円から17円を超える分は全額支援し、17円以下の部分は10月4日まで30%、10月5日から12月31日まで60%支援する。

 

燃料油価格激変緩和措置は2024年4月末まで実施される予定である。

 

さらに、政府は2023年12月使用分(翌年1月請求分)までとしていた電気・ガス価格激変緩和措置を2024年4月使用分まで延長することを発表している。

 

補助額は、2023年9月使用分(10月請求分)から、都市ガスが1m2あたり30円から15円へ、電気が低圧は1kWhあたり7円から3.5円へ、高圧は1kWhあたり3.5円から1.8円へ引き下げられている。

原油価格の上昇で輸入物価(契約通貨ベース)の前月比はプラスが続く

 

2023年10月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比1.3%(9月:同0.7%)と2ヵ月連続でプラスとなった。内訳をみると、10類別中4類別でプラス、6類別でマイナスとなった。石油・石炭・天然ガスは前月比4.9%(9月:同2.9%)と2ヵ月連続でプラスとなり、全体を押し上げた。

 

2023年10月の円相場(対ドル)は前月比1.3%と円安が進行したことで、輸入物価は円ベースで同2.3%(9月:同2.3%)と3ヵ月連続のプラスとなった。円ベースの前年比は▲11.7%(9月:▲13.9%)と7ヵ月連続でマイナスとなった。

今後も国内企業物価指数の前年比上昇率は縮小

 

10月は円安の進行と原油価格の上昇で円ベースの輸入物価(前月比)が2ヵ月連続のプラスとなった。中東地域の緊張が高まっていることなどから、原油価格の上昇に伴い、輸入物価が上昇する可能性は残っている。

 

しかし、国内企業物価指数の前年比上昇率は、政府の燃料油価格激変緩和措置や電気・都市ガス料金の負担軽減策に加え、前年の高い伸びの裏がでることもあり、縮小を続けるだろう。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月13日に公開したレポートを転載したものです。

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