(写真はイメージです/PIXTA)

インドネシアの2023年7月~9月の実質GDP成長率は、輸出と政府消費の減少等により、市場予想を下回る結果となりました。本稿ではニッセイ基礎研究所の斉藤誠氏が、今回のGDP成長率の内容からインドネシア経済の今後の見通しについて解説します。

市場予想を下回ったインドネシアの実質GDP成長率

インドネシアの2023年7-9月期の実質GDP成長率※1は前年同期比(原系列)4.94%増(前期:同5.17%増)と低下し、市場予想※2(同+5.03%)を下回る結果となった。

 

7-9月期の実質GDPを需要項目別に見ると、輸出と政府消費の減少が成長率低下に繋がった(図表1)。

 

民間消費(対家計民間非営利団体含む)は前年同期比5.06%増(前期:同5.22%増)と低下した。費目別に見ると、輸送・通信(同7.61%増)とホテル・レストラン(同6.52%増)が堅調に拡大した一方、食料・飲料(同4.07%増)や住宅設備(同3.77%増)、保健・教育(同4.23%増)が伸び悩んだ。

 

政府消費は前年同期比3.76%減となり、好調だった前期の同10.57%増から大きく低下した。総固定資本形成は前年同期比5.77%増(前期:同4.63%増)と加速した。機械・設備投資(同1.01%減)が減少したものの、建設投資(同6.31%増)が加速した。

 

純輸出は成長率寄与度が+0.24%ポイントとなり、前期の▲0.10%ポイントから改善した。まず財・サービス輸出は前年同期比4.26%減(前期:同2.98%減)と低迷し、2四半期連続のマイナス成長となった。

 

輸出の内訳を見ると、サービス輸出(同33.82%増)は好調が続いたものの、財輸出(同6.91%減)が落ち込んだ。また財・サービス輸入も同6.18%減(前期:同3.06%減)とマイナス幅が拡大した。

 

 

供給項目別に見ると、主に第三次産業の鈍化が成長率低下に繋がった(図表2)。

 

第三次産業は前年同期比5.79%増(前期:同7.15%増)と低下し、過去5四半期で最も低い伸びにとどまった。

 

内訳を見ると、運輸・倉庫(同14.74%増)とホテル・レストラン(同10.90%増)、ビジネスサービス(同9.37%増)、情報・通信(同8.52%増)が好調だったほか、構成割合の大きい卸売・小売(同5.08%増)も堅調に推移した。

 

一方、行政・国防(同6.23%減)と教育(同2.07%減)が減少したほか、金融・不動産(同3.98%増)が伸び悩んだ。

 

第二次産業は前年同期比5.82%増(前期:同4.94%増)と加速した。内訳を見ると、全体の2割を占める製造業(同5.20%増)と鉱業(同6.95%増)が堅調に拡大すると共に、持ち直しの動きが続く建設業(同6.39%増)と電気・ガス・水供給業(同5.04%増)が回復した。

 

第一次産業は前年同期比1.46%増(前期:同2.02%増)と低下した。

 


※1 2023年11月6日、インドネシア統計局(BPS)が2023年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。

※2 Bloomberg調査

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年11月6日に公開したレポートを転載したものです。

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