本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が11月9日に配信したレポートを転載したものです。

〈〈元のレポートはコチラ〉〉

豪州準備銀行(RBA)は5会合ぶりに利上げ決定

豪州準備銀行(RBA)は11月7日の理事会において、5会合ぶりとなる利上げを決定しました(政策金利を4.35%へ0.25%ポイント引き上げ、図1)。

 

足元までのインフレ指標の上振れを受けて、市場ではRBAの利上げ観測が高まっていたことから、今回の利上げは概ね市場予想通りの結果となりました。

 

 

インフレ鈍化を確実にするために利上げを決定

RBAはインフレ鈍化をより確実なものにするため、今回の利上げが正当化されるとの判断を示しました。

 

ミシェル・ブロックRBA総裁の声明文では、サービス価格を中心にした根強いインフレ圧力への言及がなされ、「高水準のインフレが長期化するリスクが高まった」との見方が示されました(図2)。

 

豪州の7-9月の消費者物価指数は前年比+5.4%へと鈍化したものの、サービス価格の上昇が持続的なインフレ圧力に繋がりつつあります(図3)。

 

 
 

今後の金融政策については中立的な方針を示す

もっとも、先行きの金融政策についてRBAの声明文では、従来までのタカ派的な姿勢が弱められ、「今後の利上げはデータ次第」と中立的な様子見姿勢が示されました。

 

最新の市場予想では、RBAの政策金利は2024年6月末まで4.35%で据え置かれるとの見方が大勢です。その後は2024年7-9月以降、段階的な利下げが見込まれているものの、2024年末の政策金利は3.85%と高水準の金利が続く可能性が高いとみられています。

豪ドル相場の安定は豪州への証券投資の好機に

豪州の政策金利の高止まりは、金利差の面から豪ドル相場を支える要因になると考えられます(図4)。

 

市場では、今後の米ドル安進行の裏側で豪ドルの上昇を見込む見方が大勢であり、豪ドルの対円相場も安定的な推移が予想されています(図5)。豪ドルには通貨分散先としての見直しの余地が残されているほか、対円での豪ドル相場の安定が続く市場環境は豪州株や豪州債への投資を進める上での好機となる可能性がありそうです。

 

 
 
 

和泉 祐一

フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社

シニア リサーチアナリスト

 

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