(※画像はイメージです/PIXTA)

首相や閣僚等の「特別職公務員」の給与を引き上げる法案が物議を醸している。多くの批判を受け、松野官房長官は、法案が成立したとしても増額分を「国庫に返納」する方向であると表明した。端的に法案自体を撤回すべきとの意見もあるが、実は、制度上そうせざるを得ない事情も見え隠れする。そこで、本記事では、特別職公務員の給与の決まり方とその課題について、一般公務員の給与にも触れながら解説する。

一般職公務員の給与は「人事院勧告」で決まる

では、一般職公務員の給与はどのように定められているのか。一般職公務員の給与については、「人事院勧告」を踏まえて政府が国会に法案を提出し、国会の議決により決まることになっている。

 

人事院勧告は、人事院が年1回、国会と内閣に対し、国家公務員の一般職の給与・ボーナス等について、必要な見直しを勧告する制度である。

 

2023年の人事院勧告は8月7日に行われ、一般職公務員の給与の引き上げを勧告する内容となっている。そして、政府はそれに合わせ、特別職公務員についても引き上げを行おうとしているということである。

 

人事院勧告は、公務員の争議権(ストライキ等)をはじめとする労働基本権が制約されていることの代償として設けられている制度である。そして、人事院勧告においては、公務員の給与について、民間給与との格差を埋めること(民間準拠)が基本とされている。

 

まず、「月給」の比較については、国家公務員と民間の4月分の給与を調査して精密な比較を行い、較差を埋めるという方式をとっている。

 

次に、「ボーナス」の比較については、民間のボーナスの直近1年間(前年8月~当年7月)の支給実績を調査してその「年間支給割合」を求め、これに国家公務員のボーナス(期末手当・勤勉手当といった特別給)の「年間支給月数」を合わせる方式をとっている。

 

これらについて、企業規模50人以上の民間企業を対象とし、「ラスパイレス比較」という特殊な手法を用いている。

 

ラスパイレス比較では、「役職段階」「勤務地域」「学歴」「年齢階層」を考慮する。それぞれ、以下の段階がある。

 

【役職段階】(10段階)

1級(係員)、2級(主任)、3級(係長)、4級(課長代理・係長)、5級(課長・課長代理)、6級(部長等・課長・課長代理)、7級・8級(部長等・課長)、9級・10級(部長)

 

【勤務地域】(8段階)

地域手当1級~地域手当7級、地域手当非支給地

 

【学歴・年齢階層】

中卒(「16歳・17歳」から2歳刻み)、高卒(「18歳・19歳」から2歳刻み)、短大卒(「20歳・21歳」から2歳刻み)、大卒(「22歳・23歳」から2歳刻み)

 

専門家集団である人事院が、これらの要素を細かく比較検討し、妥当と考えられる給与額を算出しているということである。

 

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