(※画像はイメージです/PIXTA)

税金の「申告漏れ」に関する報道があとを絶ちません。申告漏れにも「レベル」があり、その内容によってはきわめて重大なペナルティを受ける可能性があります。「ついうっかり」ならまだしも、「つい出来心で」だともうシャレになりません。申告漏れをした場合、どのようなペナルティを受けるのでしょうか。主な制裁である「追徴課税」について、税理士・黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ 共同代表)が解説します。

「申告漏れ」にはレベルがある…最悪は「塀のなか」へ

一口に「申告漏れ」といっても、レベルがあります。そのレベルに応じて、ペナルティである「追徴課税」も様々です。単なるミスならばペナルティは比較的軽くて済みますが、悪質な場合には非常に重い税金を払わされるハメになります。

 

さらに、悪性がきわめて高い場合には、刑事罰の対象となります。所得税法238条では、「10年以下の懲役」「1,000万円以下の罰金」のいずれか、または両方が課されることになっています。最悪の場合は刑務所に入らなければならないということです。なお、罰金刑は税金のペナルティである「追徴課税」とは別に科されます。

 

以下、「追徴課税」の種類と内容について解説します。

「単なる申告漏れ」だけでも課される「延滞税」

まず、税務調査等で「申告漏れ」が発覚した場合、不足分の税額を支払わなければならないのは当然として、それに加えて利息にあたる「延滞税」が課されます。

 

延滞税には計算式がありますが、細かいので本記事では立ち入りません。2023年の延滞税の税率は以下の通りです。

 

・納期限後2ヵ月以内の期間:年2.4%

・納期限後2ヵ月超の期間:年8.7%

 

申告漏れが発覚した時期によっては、この延滞税だけでも大きな負担となります。「ついうっかり」であっても、最低限、延滞税は払わなければならないのです。

3種類の「加算税」

延滞税に加え「加算税」も課されることがあります。

 

「加算税」で重要なのは以下の3種類です(「不納付加算税」もありますが、特殊なものなので割愛します)。

 

【3つの主な「加算税」】

1. 重加算税

2. 過少申告加算税

3. 無申告加算税

 

以下、3種類の「加算税」について、最も重いペナルティである「重加算税」から解説します。

 

◆重加算税

重加算税は、「隠ぺい」または「仮装」を行って納税申告しなかった場合、あるいは過少申告した場合に課されるペナルティです(国税通則法68条)。

 

故意によるものであり、悪性がきわめて強いということで、重い税率が課されます。税率は原則として以下の通りです。

 

【重加算税の税率】

・無申告の場合:40%

・過少申告の場合:35%

 

また、過去5年間に重加算税、または次に説明する「無申告加算税」を課されたことがあれば、上記の税率にさらに10%が加算されます。

 

2023年3月に発覚したSNS上の「インフルエンサー」9名による合計約3億円の申告漏れの事件を覚えている方も多いと思います。あの事件では、申告漏れの額が約3億円で、追徴税額が総額約8,500万円でした。重加算税の比率が高かったとみられます。

 

なお、この事件が発覚したのは税務調査によるものですが、税務署の調査能力はきわめて高く、お金の動きについて確実に把握されると考えておくべきです。というのも、税務署は強力な「質問検査権」を持っています。

 

たとえば、本人の同意なくして銀行口座の取引履歴を調査できます。もし仮装や隠ぺいをしても、様々な状況証拠を積み重ねることで、どうにかしてお金の動きを把握しようとします。税務調査官は仮装・隠ぺいを見破る専門家なので、あらゆる手口を熟知しています。したがって、税務署がその気になれば「申告漏れ」や「仮装」「隠ぺい」は必ずバレると思っておくべきです。

 

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