「株式投資」を躊躇してしまうワケ
世界で今日も多くの企業が存在し、それは利益の存在を証明しているにもかかわらず、なぜ我々は、株式投資を躊躇するのでしょうか。それはおそらく「下落によって資産を減らすことが怖いため」でしょう。
仮に、毎年ピッタリ100万円の利益もしくは配当を確実に生み出しつづける企業があるとすれば、その企業のキャッシュフローは固定利付債券と同じですから、株価は一定になるはずです。
株価が変動する理由は、①将来の利益水準に対する投資家の見込みが上下したり、②株価を算出するために将来にわたる利益の列を現在に割り引いてくる割引率(=金利+リスク・プレミアム)が変化するためです。
たとえば、①毎年毎年の利益が100万円から120万円に増える(80万円に減る)と見込まれれば、株価は上がります(下がります)。
他方の②リスク・プレミアムは、「その企業が毎年100万円の利益を出す可能性がどの程度確かか」を測っています。
たとえば、投資家が「100万円は間違いなく支払われる」と見積もれば、リスク・プレミアムはゼロになり、割り引くものが金利だけですから、その株式は永久国債と同じ評価になります。対して、「100万円が支払われる可能性が低い」と見積もられれば、リスク・プレミアムが高まり、割引率が上がって、株価は下がります。
株式が市場で取り引きされる限り、熱狂と悲観があるため、株価の変動は避けられません。
当然ながら、期待が高まったときに株式を買い、その後に期待が低くなれば、株式投資には実現損や含み損が生じます。
株価変動が怖いなら「積み立て投資」を
では、そうした熱狂と悲観を株価から取り去る方法はあるでしょうか。ひとつの方法は、積み立て投資を行うことです。
積み立て投資を行うということは、熱狂のときにも悲観のときにも購入するわけですから、熱狂と悲観のそれぞれを打ち消しあう水準で株価を買うのと同じです。
熱狂や悲観とは関係なく、「企業の利益水準そのものが下がったら株価も下がる」と思われるかもしれません。たしかに個別の企業ならそうですが、社会全体や株式市場全体の企業の株式に分散投資を行えば、「企業の存在=利益の存在」という話に戻ってきます。