(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅・教育・老後の「人生3大支出」のうち、住宅費は特に大きな比重を占めるため、できる限り支出を抑えたいものです。多くの人は今後の住まいについて検討する際、持ち家と賃貸、どちらにすべきか迷うでしょう。本記事では、金融業界25年のキャリアを持つFP田中和紀氏による著書『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)から、持ち家と賃貸について、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。

一生涯お金を払い続ける住宅費用

住居は人生において必要です。借りるにしても買うにしても家は必要で、住宅に関して詳しく知ることは大切でしょう。「人生3大支出」の住宅・教育・老後では、住宅だけは一生涯お金を払い続けます。借りれば賃料を払い、買えばローン返済や維持費、税金などを払います。住宅への支出は大きく、さらに長期間となるため、支出を少し抑えられれば大きな節約になるでしょう。

 

ここでは金銭面を中心に、住宅は賃貸と購入ではどちらがよいのかを比べてみます。

 

「賃貸」と「購入」どちらが安く抑えられる?

「賃貸が安くなる」という意見は、今後の不動産価格の下落や、維持費の少なさなどが主な理由のようです。人口減少時代に入り、家はあまって空き家が問題化している状況で、購入には物件の下落リスクがあります。そして賃貸は、メンテナンスなどの維持費は大家が払うため、負担が少ないとの見方です。

 

一方で、不動産サイトなどを閲覧すると、「トータルでは購入したほうが住居費は安くなる」と掲載されています。ただし、そのほとんどは住宅を販売する業者のサイトであり、客観性に欠けます。不動産会社は、売買が賃貸より手数料収入が大きいため、売買を推奨したい理由も、これにはありそうです。

 

私の経験談を伝えると、不動産を購入する必要性を感じなかったため、賃貸に住んでいます。賃貸だと引っ越しが自由で、都心でも郊外でも暮らしやすいですよね。賃貸物件を変えれば、臨機応変に家賃も調整できます。また、物件の劣化に従い、長く住めば、賃貸の家賃は基本的に減少していくのです。

 

よくある賃貸と購入の金額比較のシミュレーションで、賃料の減少を組み込まず、総家賃を算出しているものがありますが、実際の賃料は少しずつ減っていきます。私は新築の賃貸物件に住みはじめて、15年ほど経過しましたが、賃料は1割程度減となっていますね。

 

仮に引っ越すことにしたとしても、賃料を以前と変えなければ、同条件の新築や築浅の物件に引っ越しができ、住環境は劣化しないでしょう。この点は見落としが多いため、強調しておきたいことです。

 

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田中 和紀

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