(※写真はイメージです/PIXTA)

年末に駆け込み申請が増える「ふるさと納税」は、地方に寄付をすることで税金の控除が受けられる制度です。納税した自治体から返礼品がもらえるだけではなく、地方活性化にも役立つため、やって損のない制度といえます。本記事では、金融業界25年のキャリアを持つFP田中和紀氏による著書『FPが教える!マネーリテラシーを高める教科書』(ごきげんビジネス出版)から、ふるさと納税の仕組みと具体的な手続きの方法について解説します。

居住地以外にも納税できる「ふるさと納税」

ふるさと納税は地方に寄付をして、税金の優遇が受けられる制度です。寄付金控除が使え、寄付した金額がそのまま税金となるため、ほとんど損のない制度です。

 

会社員でも手軽にでき、寄付のお礼として地方から返礼品がもらえます。ただし、実質2,000円の負担はあり、その金額はマイナスになりますが、各自治体は価値ある返礼品を用意しています。

 

所得により寄附金額の上限は決められており、当年の所得が確定する年末になれば、多くの人たちがふるさと納税をやっていますね。所得が確定し税金も確定する年末に、節税狙いの駆け込み需要があるのです。年末になるとコマーシャルなども多く見かけ、広く宣伝されています。

ふるさと納税は、なんのためにあるのか?

なぜ、ふるさと納税の制度があるのでしょうか。発端は地方の衰退にもあります。人口減少で地方に人や税も集まらなくなり、国の交付金に頼る状況が続いているのですね。地方の衰退は日本の危機でもあり、政府も地方活性化を望んでいます。魅力ある地方にお金が回るよう、制度導入となりました。

 

国が采配で地方にお金を回すより、国民にどの自治体にお金を回すかを決めてもらうという制度です。自治体も寄付してもらうために、魅力や返礼品をアピールします。切磋琢磨で競わせることに効果があると考えています。地方への税の割り振りを、自治体の頑張りや国民の考えに任せるといったところでしょう。それによる国の底上げを狙っているのです。

 

では、具体的にどのような制度かを見ていきましょう。まずはネットなどで、どの自治体に寄付するかを決めます。基本的には名産品などを返礼品として送るため、その返礼品目当てで自治体を決めているケースは多いでしょう。出身地や応援したい地域を選択する人も多いと思われます。

 

返礼品は寄付金の3割相当の価値が上限です。以前は返礼品が豪華すぎて問題となり、上限が設けられました。それでも5万円寄付すれば、1.5万円相当の返礼品が贈られてくるため、人気となっているのです。

 

自治体を選択すれば、ネット上で手続き可能で、払った寄付金は寄付金控除となり、支払い予定の税金から差し引かれます。返礼品とともに証明書も送られてきて、確定申告の時に提出するだけです。

 

会社員で確定申告をしない人は、ワンストップ納税もあり、返礼品の申込時に手続きするだけで、納税も終了させられます。自治体間で連携して、納税手続きも終了できるようになりました。その後は、寄付した自治体から返礼品が届くのを待つだけです。

 

寄付金は住民税から主に控除されます。寄附金額の上限は課税所得や扶養する人数で異なり、独身の会社員であれば、年収300万程度で3万円程度です。詳しくはシミュレーションサイトがあるので、確認しましょう。

 

自営業者などは、住民税の所得割の20%程度が上限です。住民税の所得割とは、課税所得の10%程度になります。課税所得が150万円であれば、所得割が15万円程度で、20%の3万円程度が寄付金の上限になります。自営業者などは違う計算式になるので、サイトで確認しましょう。基本的には住民税を多く支払っていれば、限度額も大きくなります。

 

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田中 和紀

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