※画像はイメージです/PIXTA

長い間デフレに悩まされていた日本ですが、2023年に約41年ぶりのインフレとなり、新たな問題に頭を抱えています。本記事では、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本のインフレの実態について解説します。

国民の8割強「物価上昇は困ったこと」

こうした中、消費者も物価が上がっていることを実感し、さらに、今後も物価上昇が続くと予想しています。日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」は、国民の現在の物価に対する実感を調査しています(図表4)。

 

[図表4]物価についての実感

 

2023年6月の調査では、1年前と比べて物価が上がった(「かなり上がった」と「少し上がった」の合計)と答えた人の割合がなんと95.5%となっています。

 

これは、過去最高だった2008年9月の94.6%をさらに上回る驚くべき数字です。物価が上がったと回答した人のうち、86%が「物価上昇はどちらかと言えば困ったこと」だと答えています。

 

これは、企業で価格転嫁の動きが続き、食料品や日用品などの幅広い品目で値上げが相次いだことが影響していると考えられます。人々は、1年前に比べて、現在の物価は15%程度、上がったと実感しています。

 

消費者の86%が「物価は上昇し続ける」と予想

また、同調査では、1年後の物価の予想についても聞いています。「1年後の物価は、現在と比べるとどうなると思いますか」という質問に対しては、上がる(「かなり上がる」と「少し上がる」の合計)との回答割合が86%となっています。8割を超える個人が1年後にもさらに物価が上昇すると見ているのは、近年ない動きです。

 

1年後の物価が今と比べて何%程度変化するか具体的な数値を聞いたところ、平均値は10.5%上昇と過去最高だった2023年3月調査の11.1%上昇よりも若干低下したものの依然として高い数字となっています。

 

内閣府の「消費動向調査」(2023年2月実施調査)でも、消費者が予想する1年後の物価は、上昇率が「5%以上」と回答した人が66.8%と、遡れる2004年4月以降で過去最高となるなど、多くの人が物価の上昇が続くと見ています。

 

 

宮本 弘曉

東京都立大学経済経営学部

教授

 

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一人負けニッポンの勝機

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宮本 弘曉

ウェッジ社

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