※画像はイメージです/PIXTA

インフレ、低賃金、少子高齢化など、厳しい状況におかれた日本経済。しかし、日本経済にはまだまだ成長できるポテンシャルが残っていると、元IMF(国際通貨基金)エコノミストで東京都立大学経済経営学部教授の宮本弘曉氏はいいます。本記事では、同氏による著書『一人負けニッポンの勝機 世界インフレと日本の未来』(ウェッジ社)から、日本経済が再び軌道に乗るための具体策について解説します。

労働力の減少が見込まれる中で、経済を成長させるためには

足元ではインフレが問題となっていますが、日本では長い間、低物価が続き「安いニッポン」となっています。しかし、低いのは物価だけにとどまらず、経済成長と賃金も低迷しています。三つの低——低成長、低物価、低賃金——に日本経済は苦しんできました。さらに、政府の借金は膨大な額に膨れ上がり、高債務という嵐も吹き荒れています。

 

さらに、日本は今後、人口が減少し、高齢化も進んでいきます。最新の人口推計によれば、2056年には日本の総人口は1億人を割り、2070年には8700万人へと激減することが見込まれています。

 

人口の減少は労働力の減少を招き、生産にマイナスの影響を与えるとともに、消費者の減少が市場規模を縮小させ、経済の潜在成長を抑制します。また、高齢化の進展は、社会保障費の増加を引き起こし、財政にさらなる負担をかけることになります。

 

このような厳しい状況の中で、果たして日本経済が再び成長の道を歩むことは可能なのでしょうか? 誰もが疑問に思うでしょう。その挑戦は確かに遠く、険しいものであることは間違いありません。しかし、私は日本にはそのポテンシャルがあり、今後、伸びていくことは可能だと考えています。

 

経済成長の源泉は労働、資本、そしてTFPです。

 

労働力の減少が見込まれる中で、経済を成長させるためには、労働以外の要素を高めるほかありません。つまりは、生産性の向上が必要ということです。個々の労働者の生産性を高めるだけでなく、経済全体の生産性を高める必要があります。

 

これを同時に達成できるのが、労働市場の流動化です。流動的な労働市場では、適材適所が達成されるので、労働者がその能力を最大限に発揮できるようになります。また、労働の再配置がスムーズに行われるため、経済の新陳代謝が上がり、経済全体の生産性が高まると考えられます。

 

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一人負けニッポンの勝機

一人負けニッポンの勝機

宮本 弘曉

ウェッジ社

「働いても働いても貧乏から抜け出せない!?」…経済大国ニッポンが賃上げもままならない「一億総貧国」に転落した根本原因とは? 2023年、年明け早々、食料品の3度目の値上げの報道がなされ、物価高騰が生活者レベルで重くの…

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