人が育つ会社を創るポイント
続いて、人が育つ会社を創るポイントを解説します。
教育(人を育てること)と評価制度、キャリアパスは連携させる
教育と評価制度、キャリアパスは連携させる必要があります。
つまり「会社としてはこういうキャリアパスを用意しています。各役職になるために評価されるポイントはこのような点です。それを学ぶためにこのような教育を受けることができます」というメッセージを社員に伝えることが大切なのです。
この一貫性がないと「なんでそんな教育や研修を受けなきゃいけないの?」となってしまいます。「学び、成長することが自分にとってのキャリアアップにもつながり(内面的動機)、給与にもつながる(外面的動機)」というイメージを持ってもらうことが重要です。
教育は内製化する
中小企業ほど教育は内製化すべきです。「リソースが不足しがちな中小企業ほど外部研修を利用すべきでは?」と思うかも知れませんが、これには次のような理由があるのです。
理由① 優秀な人材の定義が会社ごとに異なる
私たちは簡単に「優秀な人材」という言葉を使ってしまいますが、実はこの定義は各社ごとに違うのです。A社で活躍できる人でも、B社では活躍できないというケースがあります。それは、会社ごとに求められる価値観や能力が異なるからです。A社では評価される行動や仕事のやり方がB社では通用しないというのはよくあることです。
ですから、本来は「うちの研修に来てくれれば、優秀な人材に育て上げます」とは言えないはずです。
あなたの会社にとって優秀な人材とは、「自社の理念に共感し、価値観を共有していて、自社の仕組みに沿って上手く働ける人」を指しています。理念も価値観も仕組みも各社ごとに違うわけですから、画一的な研修や教育では優秀な人材は育たないのです。
理由② リーダークラスは経験を通して育てるしかない
これは特にリーダークラスに当てはまる話なのですが、日本のキャリア研究の第一人者である金井壽宏氏によれば「人が育つのは経験を通じてが7割、研修による影響は1割」なのだそうです。
ですから、自社で人を育てる仕組みをつくりながら、業務の経験を積ませるというやり方が人を育てる近道と言えます。
理由③ 人を育てる文化と人が育つ
教育を内製化する大きなメリットがこれです。教育を外部に任せていると、いつまでたっても人を育てる文化が形成されません。もちろん教えられる人も育ちませんから、長期的にはコストパフォーマンスが悪いわけです。
人材育成を内製化すると、「後輩を育てよう」という文化が社内に生まれます。さらに育てる人も育つため、人が育つ土壌ができ、よりよい職場環境を生み出します。
このように、あなたの理念に根差したいい会社を創ろうと思ったら、教育の内製化がお勧めです。
マニュアルを教育のテキストにする
人を育てるためにもマニュアルがあるといいでしょう。
マニュアルは作業のステップを書いたもの、とだけ思われがちですが、そうではありません。正しく作られたマニュアルには自社の理念に沿った働き方が詰まっています。それをテキストにして教えることで、教え方が標準化できるのです。
自社の理念に合わせた働き方が書いてあるマニュアルがあること、そしてそれに基づいて教えること。成功している会社や世の中に広がっている会社は、漏れなくこれをやっています。ぜひあなたの会社でも実践してみてください。
社内育成はマネージャーが鍵
LinkedInが2019年に行った調査によると、従業員の94%が「雇用主が自分の能力開発に投資してくれるなら、その会社で働き続けたい」と答えています。
ところが、コロナ禍に伴うリモートワークの普及は社員教育を複雑化させ、一部の企業はテクノロジーによってこの問題を解決しようとしています。
そして、もう1つの解決策がマネージャーの関与です。チームメンバーに必要なスキルを正しく認識し、その教育計画の策定時に有益なフィードバックや指導を提供できる、優れたマネージャーを置くことが重要になります。
多忙で過労状態のチームメンバーに新しいことを学ぶように促すのは難しいのですが、マネージャーがチームメンバーをカバーすることで、彼らが学習するための時間を確保することができます。
また、マネージャーは参加者が学んだことを他の人と共有するように導き、学んだことを応用できるように支援することも必要です。
経営者が市場の大きな変化に取り組んでいるなか、従業員育成の責任は人事や研修チームだけが担うわけではありません。マネージャーは、従業員のモチベーションや関係性の強化を促進する、鍵となる立場にあります。
だからこそ、企業はマネージャーをバックアップするための仕組みとツールを提供する必要があるわけです。
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