今回は、不動産投資も含む投資一般の大原則であるリスクとリターンの関係を見ていきます。※本連載は、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長の吉崎誠二氏の著書、『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』(芙蓉書房出版)の中から一部を抜粋し、「土地活用」に関する基本事項を解説します。

「リスクのないものにリターンはない」が大原則

投資において、「リスクのないものに、リターンはない」というのは、大前提の原則だ。だから、元本保証などとうたう商品は詐欺と言える。リスクフリーと言われる国債も、その国の破綻が起これば、予定されたお金は返ってこない。

 

代表的な投資についてのリスクとリターンの関係を図で示すと、図表1のようになる。ここでは、縦軸にリターン、横軸にリスクを表している。

 

【図表1 リスクとリターンの関係イメージ】

リスクが増えれば、当然その分のリターンを投資家は求めるようになる。正比例の関係だ。この図では、国債は「低リスク―低リターン」となっているが、これは主要先進国の国債であり、政治経済的に不安定な国の国債は「ハイリスク・ハイリターン」かもしれない。

投資での「リスク」の概念は、「危険」ではなく「不確定」

投資の概念で、「リスク」とは「危険である、損をする」という概念ではなく、「バラつきがある・確定しない」という概念で、日常会話的に言うと、「先がよめない」という感じだろうか。つまり、損することがわかっていると、誰も自分のお金を賭けて投資を行わない。

 

一方、保険は、金をもらって、リスク(万が一の確定しない出来事)を買い取る(請け負う)商品と言える。

 

不動産投資はここでは、「中リスク・中リターン」となっているが、もちろんこれも物件により大きく異なることは言うまでもない。都心の超一等地の商業施設やオフィスビル、賃貸マンションなどは、投資安定感があるので「ローリスク・ローリターン」だ。一方、アジア後進国での不動産投資などは、「ハイリスク・ハイリターン」だろう。

 

数年前、「アジアのある島で新たに空港建設が囁かれているという情報があり、その周辺一帯の土地を買おうとしている。一口のらないか?」という話を聞いて、現地を見に行ったが、まさに電気も水道もない原野で、この土地が何十年後には、「十倍・百倍に化けるのだろうな」とも思ったが、空港建設予定地は正式には決まっておらず、あくまでも「あのエリア」という予想だけで、リスクは極めて高い、「超ハイリスク・超ハイリターン」の投資例だった。

 

こうした不動産投資は、富裕層が優雅に、そしてハイリターンを求める投資で、私はそんな資金もないので辞退した。

本連載は、2016年2月15日刊行の書籍『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

吉崎 誠二

芙蓉書房出版

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