今回は、土地活用をするうえで、所有する土地に建物を建ててから貸すべきなのか、それとも土地のまま貸すべきなのかについて考えていきます。※本連載は、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長の吉崎誠二氏の著書、『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』(芙蓉書房出版)の中から一部を抜粋し、「土地活用」に関する基本事項を解説します。

自らの土地の上に建物を建ててから貸すパターン

所有する土地を「自分で使わず、土地活用する」ということになると、他人に貸すことになるが、前回も述べたように、これには「建物を建ててから貸すパターン」と「建物を建てずに更地として地面だけを貸すパターン」がある。

 

建物を建ててから貸す場合にもいくつかパターンがあり、代表格は、賃貸住宅として入居者に入ってもらうというもの。賃貸用住宅を建てて、賃料を得る。

 

30年、35年といった長期的な収入が見込め、賃貸住宅においては景気が多少悪くても賃料が下がることがあまりないため、安定的な収入が得やすいといえる。

 

自らの土地の上に建物を建てて貸すというタイプには、流通小売用店舗や医療用施設、事務所用建物などを建てて、それを企業に貸すというものもある。

 

賃貸住宅の場合、一般的に(一括借上げなどを除いて)個人との契約のため、借り手からの賃料交渉圧力は少ないが、企業との契約の場合は、その圧力が大きい。

 

また、企業との契約は、一定期間の定期契約のため、その期間内は安定収入が入ってくる。そして、状況がよければ更新が続き、長期安定収入が見込める。

 

一方、景気低迷期や、その企業の業績不振期に契約期間が終わると、解約されてしまう可能性が高くなる。賃貸住宅の場合は、需要が見込めるエリアに立地していると、退去後の次の入居者がすぐに(数か月以内)に付いて、空室に伴う収益減の痛みは少ない。しかし、店舗や事務所などは、次の入居者が長く見つからない可能性が少なからずあり、それに伴い収益減となれば、かなりの痛手を負うことになる。

建物を建てずに更地として地面だけを貸すパターン

次は、土地だけを貸す、建物は建てずに地面だけを貸すというパターンで、代表格には駐車場経営があげられる。あるいは、資材置き場や原木等を置いておくような場所として貸す。これも更地の状態なので、契約期間との調整がつけば、売却が比較的容易である。

 

メリットは、そのまま地面を貸すだけのため投下資本が少なくて済むということだ。一方、デメリットは、税の軽減措置がほとんどないため、それによる節税(税の軽減)対策としては使いづらいということになる。

 

三つに分けて話をしてきたが、所有する土地の場所がどのような状況かにより、そこは駐車場としてはまったく機能しなかったり、資材置き場としては難しかったり、あるいは賃貸住宅としては厳しかったりということが考えられる。

 

考え方の順序としては、①自分の周辺の状況を見て、できるかできないかを考える。②いくつかの選択肢の中からメリット・デメリットを考える。③経営計画、資金計画、どのように利回りを得ることができるのかを考える。これが一般的な順序だ。

本連載は、2016年2月15日刊行の書籍『データで読み解く賃貸住宅経営の極意』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

データで読み解く 賃貸住宅経営の極意

吉崎 誠二

芙蓉書房出版

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