初期費用をケチって失敗
マイホームは、「購入(初期)費用」と「メンテナンス(維持)費用」が発生します。後悔の声をよく聞くのは、購入の際、費用を抑えようとして安価なものを選んでしまったために、予想以上にメンテナンス費用がかかってしまったというものです。
屋根は、素材によっては10年後からメンテナンスがはじまる
マイホームにまつわる出費は、購入すれば終わりではありません。暮らしはじめてからメンテナンスや塗装にも費用が発生します。新築時はすべて住宅ローンに組み込まれているのでそれさえ支払えばよいと思いがちですが、屋根材によっては10年後からメンテナンスがはじまるものもあります。
■最も安価な「化粧スレート」は、約10年ごとに数十万円のメンテナンス費用が発生
たとえば最も安価な「化粧スレート(屋根材)」。これはセメントを固めてできた薄い板状の屋根材であり、一般住宅でよく見かけるものです。耐用年数は20〜30年ですが、約10年ごとに塗装メンテナンスが必要とされています。
化粧スレートは、軽量で建物への負担が少ないので、耐震性に優れていますが、風雨や紫外線にさらされると、色あせはもちろん、塗装が剥げてヒビが入ったり剥がれたりすることがあります。雨漏りを防ぐために、症状が見られた場合はその都度、メンテナンスが必要になるんですね。
このメンテナンスを怠ってしまうと、長持ちしません。もし症状があるのに放置していると、雨漏りの危険性はかなり高くなります。
屋根の塗装は足場を組む費用もあるので、数十万円はかかります。突然の出費にならないよう、積み立てをしておくことも考えなければなりません。そうなると、住宅ローンの支払いとは別に上乗せされてしまいます。
化粧スレートは初期費用が安価でデザインや色のレパートリーが豊富なので、よく選ばれていますが、その点をしっかりふまえて選ぶことをおすすめします。
■初期費用は化粧スレートの2倍だが「メンテナンス不要」の屋根材も
一方で、「自然石粒仕上げ鋼板屋根材」や天然石とガルバリウム鋼板でできた「ハイブリッド屋根材」のように、初期費用は化粧スレートの2倍ほどになっても、メンテナンスがいらない屋根材もあります。もちろん、定期的な点検は必要ですが、耐用年数も30年以上、長ければ50年ともいわれています。
暮らしはじめてからの出費も検討したうえで屋根材を決めるのがよいでしょう。
外壁もケチるとメンテナンス費用がかかってしまう
昔は軒の長い家もよく見られましたが、最近ではデザイン性が重視され、軒の出が小さい家が多くなってきました。屋根の形状が外壁に負担をかけてしまうと、劣化はもちろんですが雨漏りする可能性が高くなります。
建物の外壁に貼る仕上げ用の板材を「サイディング」といいます。セメントと木質系成分を混合して製造された「窯業(ようぎょう)系サイディング」は国内で最も多く選ばれている外壁材で、住宅の約7割が窯業系サイディングだといわれます。
メリットは、何よりもデザインの種類が豊富で安価であることです。ブロック風、レンガ風、タイル風、木目風など、さまざまな柄があり、「こんなものがいいな」という希望があれば、ほとんどが窯業系サイディングで見つかります。
メリットの多い窯業系サイディングですが、メンテナンスは約10年に一度となります。初期費用は抑えられますが、メンテナンス費用を用意しておく必要がありますね。
■初期費用は2倍以上だが、メンテナンス不要でセルフクリーニングもできる「タイル」
メンテナンスが不要で最も耐久性に優れているのは「タイル」です。窯業系サイディングと比較すると初期費用は2倍以上になりますが、高温で焼き上げられたとても硬い素材で1枚1枚に独自の風合いがあります。窯業系サイディングにもタイル風のものがありますが、本物は格段に高級感があります。
さらに、タイルは耐久性が高いといわれている素材です。汚れが目立ってきたら、高圧洗浄機などで水洗いをすればきれいになります。何十年も住み続けるとしたら、コストは窯業系サイディングと変わらなくなるということです。
外壁にこだわると費用は高くなりがちですが、汚れやキズ、ヒビ割れなどの劣化によって外観はどんどん古めかしくなってしまいます。
窯業系サイディングで汚れが目立ちやすい色を選ぶ場合は、雨で汚れを洗い流してくれる「親水性」を備えたセルフクリーニング機能のある外壁を検討してみるのもいいですね。
YouTube不動産 印南和行
株式会社南勝代表、一級建築士
住宅専門チャンネル「YouTube不動産」運営者
全国不動産売却安心取引協会理事長、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。1972年、東京都生まれ。建築の専門学校を卒業後、建設会社で現場監督経験を積み、2011年に株式会社南勝を設立。これまでに1000件以上の住宅のインスペクション(建物診断)を行なうほか、不動産会社向けのコンサルティングを手がける。
「後悔のない家づくりをしてほしい」という思いから、2020年9月に立ち上げた住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評で、チャンネル登録者数9.91万人、総視聴回数3400万回を超える(2023年10月時点)。著書に『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』(週刊住宅新聞社)がある。
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