(※写真はイメージです/PIXTA)

「家は3回建てないと理想の家にならない」といわれますが、人生で一番大きな買い物をそう何度もできるわけではありません。本当に快適に過ごせる家を建てる秘訣は、「後悔」を知ることです。YouTube不動産 印南和行氏の著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、失敗しない「オプション」の選び方を紹介します。

期待してつけたのに残念だった「浴室」のオプション

住宅を購入する際、これまで使ったことがないあこがれの設備を採用したいと考えることがありますよね。

 

しかし、実際に暮らしはじめてから「使い勝手が悪かった」「使いこなせなかった」と後悔する設備も少なくありません。そうした設備は、とくに水まわりに多いのです。

 

浴室のベンチカウンターや棚、鏡は、あることがあたりまえと考えている人が多いかもしれませんが、じつはなくてもよい、むしろないほうがラクともいえるオプションです。

壁づけのベンチカウンターや棚は掃除が大変

「ベンチカウンター」は、「掃除しにくい!」との声が断然多いところです。壁との接触部分はもちろん、一番大変なのは裏面です。数日放置しただけでカビが発生することもあります。そんな手間のわりにはなくても困らないし、でっぱりが邪魔になるので取り外してしまったという声もあります。

 

ベンチカウンターにシャンプーなどを置く場合は、使う都度しっかり洗っておかないと、容器ボトルの裏側にカビが付着してしまうことがあるので要注意です。最近ではシャンプーやボディーソープの詰め替え容器をそのままタオル掛けやシャワーに引っ掛けて使えるアイデア商品も販売されているので、そのようなものを利用すると掃除の手間が省けますね。

 

一方で、その名のとおりベンチとして使えるベンチカウンターもあって、高齢者がいるご家庭では体を洗ったり、介助したりする際には大変便利です。一緒に暮らす家族の状況や、老後に備えてベンチカウンターを選択するのも有用です。その場合、清掃の手間が増えることは想定しておきましょう。

鏡は使い勝手のよいものを選ぶ

また、浴室に鏡を取りつけるご家庭も多いようですが、ちょっと掃除を怠ると水アカががっちりこびりついてしまいます。それに浴室内はつねに湯気が立っているので、くもり止めをしないと何も映りません。くもり止めヒーターはうっかり切り忘れることも多く、ここにも電気代がかかってしまいます。

 

掃除の面倒さやコスパを考えると、浴室内からは鏡を省いて、洗面台で使用してもそれほどの不便はないかもしれません。ただ、男性は「入浴中にヒゲを剃るので必須アイテムです!」という意見もあります。用途がはっきりしているのであれば、使い勝手のよいものを選んでみてください。

ブラックやネイビーの壁や浴槽は水アカが目立つ

もうひとつ、浴室内で掃除が大変という声が多いものに、ブラック系やネイビー系など、濃い色の壁や浴槽があります。使用するとわかりますが、ちょっと掃除を怠ると水アカがとても目立つのです。

 

そのような濃い色を選んだ場合は、入浴後に水滴を拭きとって、しっかり換気しておくと美しさが保てます。

 

マイホームをつねにきれいにしておくために、毎日掃除を欠かさない、という習慣ができればよいのですが、なかなかそうもいきませんよね。ちなみに、某メーカーの浴室取り扱い説明書には、毎日のお手入れとして、

 

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●浴槽・壁・床・カウンターを中性洗剤で洗う

●鏡も洗って、乾いたタオルで乾拭(からぶ)き

●床排水口のごみを除去して洗う

※毎日この一連の流れで掃除をしてください

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と記されているそうですが、なかなかハードルが高いですよね。ここまでこまめに掃除をするのは難しいかもしれませんが、浴室は家族が毎日使いますし、健康にも影響するところなので、つねに清潔にしておきたいですね。

エコシャワーはショールームで実際に体験して選ぶべし

「エコシャワー」とは、出る水量を減らし、水道代を節約するシャワーです。多機能のエコシャワーでは最大で48%も光熱水費を削減できるとうたっている商品もあります。

 

エコシャワーの最大のメリットは、使うお湯の量を減らせることです。一方で、その構造上どうしても水圧が弱く、冬場にシャワーを浴びる際、寒く感じることがあります。エコシャワーを使うときには、浴室の室温、とくに床の温度を上げてからにすると寒さを感じにくくなります。

 

単純に水温を上げる方法もありますが、せっかく節水で光熱水費を削減しようとしているのに、ガス代が上がってしまっては元も子もないですね。

 

くわえて、水圧が弱いために、浴室内の清掃時に高いところや離れたところまで水が届かないことがあります。空気を含んだエアイン吐水(とすい)も、お風呂掃除にはもの足りなさを感じてしまいます。広い浴室であればなおさらストレスがたまりそうですね。

 

エコシャワーのなかには、手元のスイッチで止水・節水できるものもあります。シャワーは出しっぱなしで使う人がほとんどです。蛇口をひねって止めるのは面倒ですが、ワンタッチならば手軽に止められます。お湯を出しっぱなしにしないことで節約できる光熱水費は、水量や水圧を下げるよりも大きいといわれます。

 

ある程度の水圧も得られ、節水モードに切り替えられるシャワーヘッドもあるので、その点はしっかり確認して選んでください。水圧の強いシャワーがよいという人は、ショールームで水圧を体験してから購入したほうがよいでしょう。さまざまなメーカーから販売されていますが、実際に使ってみないとわからないからです。

 

浴室の光熱水費は、思いのほか家計を圧迫します。お風呂やシャワーのお湯を沸かす際、水道代にくわえてガス代や電気代も必要です。

 

光熱水費が高くなる原因のひとつに「大きな浴槽」もあります。たとえば足を伸ばせるサイズの目安として1616のユニットバスに合う浴槽(約260〜290リットル)から1624に合うサイズ(約350〜440リットル)にした場合、1日に使用するお湯の量が90〜180リットル多くなり、沸かすためのエネルギーも多く必要になります。

 

浴室は日々の清掃にも手間がかかり、光熱水費も多く消費する場所です。家事の時短や節約が上手にできるよう、よい設備を選びたいですね。

 

 

YouTube不動産 印南和行

株式会社南勝代表、一級建築士

住宅専門チャンネル「YouTube不動産」運営者

 

全国不動産売却安心取引協会理事長、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。1972年、東京都生まれ。建築の専門学校を卒業後、建設会社で現場監督経験を積み、2011年に株式会社南勝を設立。これまでに1000件以上の住宅のインスペクション(建物診断)を行なうほか、不動産会社向けのコンサルティングを手がける。

「後悔のない家づくりをしてほしい」という思いから、2020年9月に立ち上げた住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評で、チャンネル登録者数9.91万人、総視聴回数3400万回を超える(2023年10月時点)。著書に『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』(週刊住宅新聞社)がある。

 

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    ※本連載は、YouTube不動産 印南和行氏の著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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