(※写真はイメージです/PIXTA)

新築住宅は、カビや害虫とは無縁だと思っていませんか? じつは新築住宅でもカビが生えやすい、害虫が侵入しやすい条件がそろっているともいえるのです。引っ越して間もないのにカビや害虫を見るのはイヤだと思うので必ずチェックしてみてください。YouTube不動産 印南和行氏の著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)より一部を抜粋し、「カビや害虫を寄せつけてしまう間取り」を紹介します。

採光・採風のない場所に水まわりをまとめるのは危険

一戸建てを建てる際、日当たりのよい位置にリビングを置いて、水まわりを日当たりの悪い北側や西側にまとめるような間取りになるのは自然なことだと思います。しかし、カビや害虫については、暮らしはじめてから対策を講じてもうまくいかないことが多く、とくにカビは根こそぎなくすことはとても難しいのです。

 

カビは気温25〜30℃、湿度60%以上になると発生しやすくなり、湿度が80%を超えると繁殖します。カビをなくすには、かなりの高温で長時間殺菌しなければならないので、実際に家庭内で行なうことは不可能でしょう。

 

【図表】の間取りは、北側に水まわりをまとめた住宅のものです。1日中日当たりのない場所なので、冬の朝にはお風呂の窓についた水滴が凍ってしまい、開かなくなってしまうのだとか。

 

出所:YouTube不動産 印南和行著『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)
【図表】北側に水まわりをまとめた住宅 出所:YouTube不動産 印南和行著『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)

 

このような住宅でカビを防ぐには、入浴後に浴室の水滴を拭きとるしかありませんが、毎晩そうすることは面倒ですよね。

 

この住宅の北側は湿気のこもる室内だけでなく、外壁の劣化もあり、浮き上がってヒビが入っているところもあるそうです。日の当たらない北側ほど見に行く機会は少ないと思いますが、年に2回、厳しい暑さ、寒さのあとに外壁のチェックをしてみてください。

 

【対処法】北側に水まわりを配置するときには、採光・採風・湿度管理に気をつける

採光・採風のない場所に水まわりをまとめる場合には、気密性、断熱性の高い住宅にすることが大切です。

 

なお、2003年以降の住宅に義務づけられている「24時間換気システム」は1年を通して作動させておく必要があります。電気で動かしているため月々数百円の電気代がかかりますが、スイッチを切ってしまうと室内の空気が循環しなくなるので湿気がこもり、カビが生える原因になってしまいます。

害虫はどこからでもやってくる…新築住宅こそ油断禁物

あまり思いつかないことかもしれませんが、建築中から引き渡しまでの工程でゴキブリが侵入する可能性があります。建築中は入り込むすき間があちこちにあるため、さまざまな害虫が侵入します。職人さんたちがいなくなって暗くなると入ってくるんですね。

 

ゴキブリは「敵」がいないところに侵入して行動する習性があります。まだ誰も住んでいない家は、ゴキブリにとって安心安全な場所なのです。

 

施工中はエアコンなどを取りつけるために開けた穴から侵入することもあります。ゴキブリは3mmくらいのすき間でもスルスルっと入ってきます。水をあまり使用していない配水管も要注意です。ゴキブリは食べ物がなくても、湿気のあるところを好むので、配水管にも潜んでいます。知らぬ間に家の中まで入り込んでしまい、新築住宅でゴキブリに遭遇することがあるのです。

 

引っ越し後、ダンボールのまま収納する人もいますが、ダンボールにくっついて一緒に引っ越ししていることもあるので早めに荷物を全部出して、ダンボールは捨てるのがおすすめです。

 

ゴキブリはダンボールに卵を産みつけていることがあります。卵は思いのほか大きいので、ダンボールをきちんと確認すれば見つけられます(卵がどんなものかは、インターネットで調べてみてください)。

 

また、エアコン室外機の排水ホースも侵入経路のひとつです。排水ホースは無防備に家の外に垂らされていることがほとんどなので、そこから家の中に入ってきます。ホームセンターで専用のキャップを購入してふさいでおきましょう。

 

このように、ゴキブリをはじめとする害虫たちは、どんなに対策を講じてもさまざまなところから侵入してしまいます。風通しをよくして湿気をなくすことは、カビだけでなく害虫の発生も防いでくれるので、日々の換気はしっかりと行ないましょう。

 

 

YouTube不動産 印南和行

株式会社南勝代表、一級建築士

住宅専門チャンネル「YouTube不動産」運営者

 

全国不動産売却安心取引協会理事長、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。1972年、東京都生まれ。建築の専門学校を卒業後、建設会社で現場監督経験を積み、2011年に株式会社南勝を設立。これまでに1000件以上の住宅のインスペクション(建物診断)を行なうほか、不動産会社向けのコンサルティングを手がける。

「後悔のない家づくりをしてほしい」という思いから、2020年9月に立ち上げた住宅専門チャンネル「YouTube不動産」が「わかりやすくて参考になる」と大好評で、チャンネル登録者数9.91万人、総視聴回数3400万回を超える(2023年10月時点)。著書に『プロが教える 資産価値を上げる住まいのメンテナンス』(週刊住宅新聞社)がある。

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

※本連載は、YouTube不動産 印南和行氏の著書『プロ建築士が絶対しない家の建て方』(日本実業出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

プロ建築士が絶対しない家の建て方

プロ建築士が絶対しない家の建て方

YouTube不動産 印南和行

日本実業出版社

家づくりに正解があるとしたら、それは数十年後も快適に住める家かどうかです。本当に快適に過ごせる家を建てる秘訣は、実際に家を建てた人の「後悔」を知ること。 登録者数約9.91万人、総視聴回数3400万回超*(いずれも202…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録