イスラエル・ハマス戦争続くが…金融市場に限っては「さほど心配ない」といえるワケ【マクロストラテジストが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)
イスラム組織ハマスによるイスラエルへの急襲により、地政学リスクが高まっています。金融市場への影響も心配されるところですが、フィデリティ・インスティテュート主席研究員でマクロストラテジストの重見吉徳氏は「さほど心配ない」と楽観的です。いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。
③どちらかといえば、金融引き締めを心配すべき
第3に、[図表5、6、7]の網掛け下部メモからもわかるとおり、景気後退のきっかけの多くは、地政学イベントというよりも、金融緩和によるブームとその後の「金融引き締め」です。
また、金融市場の変動の大きさも、地政学イベントよりも、経済や金融市場での「ひずみ」の解消が引き起こすショックのほうが大きいことがわかります。
現状にかんがみると、金融引き締めは最終局面であり、過去のパターンに沿えば、今後1~2年のあいだに世界経済の拡大は減速するとみられます。
そうした状況下、今回の地政学イベントが今後、より広い中東地域に拡大して原油価格がふたたび上昇したり、主要国の軍事支援の拡大が財政懸念(金利上昇)につながったりすれば、景況感を下押しする可能性も十分に考えられます。
景気の拡大はまだ続くとみられますが、とはいえ偏りがないように、十分に分散して臨みましょう。
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重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
大阪大学大学院経済学研究科博士前期課程修了後、農林中央金庫にて、外国証券・外国為替・デリバティブ等の会計・決済業務および外国債券・デリバティブ等の投資・運用業務に従事。
その後、野村アセットマネジメントの東京・シンガポール両拠点において、グローバル債券の運用およびプロダクトマネジメントに従事。
アール・ビー・エス証券にて外国債券ストラテジストを務めた後、2013年にJ.P.モルガン・アセット・マネジメントに入社、2019年同社マネージング・ディレクターに就任。ストラテジストとして、個人投資家や販売会社、機関投資家向けに経済や金融市場の情報提供を担う。2020年8月、フィデリティ投信入社。
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