アパートオーナーのなかには、「相続問題」に頭を悩ませている人が少なくありません。特に、子供が遠方に住んでおり、もう何年も会っていない……そのような状況で自身にもしものことがあったとき、トラブルは必至です。そこで、自身も不動産投資家としての顔を持つ山村暢彦弁護士が、アパートオーナーの「出口戦略」について解説します。
「海外居住」による相続トラブルも増えている
そのほか、近年は海外を生活の本拠としている方も多くなってきました。「海外居住なのに、日本の不動産の管理をしなければならない」といったトラブルや、「相続手続きのために帰国して、それがいつ終わるかわからないためにマンスリーマンションを借りなければならない」といった事案もありました。
このように、親御さんと遠方居住のお子さんとの相続にはさまざまな問題が生じてしまいます。
相続トラブル予防のカギは「遺言書」
トラブルを予防するためには、親御さん(被相続人)側で動いておく必要があります。トラブルが起こりづらい分割方法を想定し、「遺言書をのこしておくこと」が1番の対策といえます。
ただ、形式的な遺言書だけではトラブル防止にはつながらないこともあるため、最近は動画などで遺言書を作成した「想い」自体を残すなどという対策もあり、実際に行われています。
お子さん(相続人)側としては、せめてお盆や年末年始などは実家に戻って親御さんと話すなど、コミュニケーションを密にしておくことが大切でしょう。
法的には、お子さん側から相続に対して生前なにか対処しておけるような制度は現状ありません。そのため、遠方に住んでいる状況を踏まえ、コミュニケーションをしっかりと取り、負担になりづらい相続対策を親御さんと一緒に考えておくことが重要です。
それでもトラブルが生じてしまった場合には、早々に専門の弁護士へ相談に行かれることをおすすめします。
相続トラブルは「ゼロか100か」を争うようなものではなく、相続人間の財産分配の「グレーな部分」でもめてしまうことが多いです。そのため、自分の想いをあるがままぶつければ、双方の関係性は悪化してしまう一方です。
ですから、専門家である弁護士に相談のうえ、法的な財産の分配方法や、双方の立場に即した解決案を一緒に考えていくことが非常に重要といえます。
監修
山村 暢彦
山村法律事務所
代表弁護士
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弁護士法人 山村法律事務所
代表弁護士
実家の不動産・相続トラブルをきっかけに弁護士を志し、現在も不動産法務に注力する。日々業務に励む中で「法律トラブルは、悪くなっても気づかない」という想いが強くなり、昨今では、FMラジオ出演、セミナー講師等にも力を入れ、不動産・相続トラブルを減らすため、情報発信も積極的に行っている。
数年前より「不動産に強い」との評判から、「不動産相続」業務が急増している。税理士・司法書士等の他士業や不動産会社から、複雑な相続業務の依頼が多い。遺産分割調停・審判に加え、遺言書無効確認訴訟、遺産確認の訴え、財産使い込みの不当利得返還請求訴訟など、相続関連の特殊訴訟の対応件数も豊富。
相続開始直後や、事前の相続対策の相談も増えており、「できる限り揉めずに、早期に解決する」ことを信条とする。また、相続税に強い税理士、民事信託に強い司法書士、裁判所鑑定をこなす不動産鑑定士等の専門家とも連携し、弁護士の枠内だけにとどまらない解決策、予防策を提案できる。
クライアントからは「相談しやすい」「いい意味で、弁護士らしくない」とのコメントが多い。不動産・相続関連のトラブルについて、解決策を自分ごとのように提案できることが何よりの喜び。
現在は、弁護士法人化し、所属弁護士数が3名となり、事務所総数6名体制。不動産・建設・相続・事業承継と分野ごとに専門担当弁護士を育成し、より不動産・相続関連分野の特化型事務所へ。2020年4月の独立開業後、1年で法人化、2年で弁護士数3名へと、その成長速度から、関連士業へと向けた士業事務所経営セミナーなどの対応経験もあり。
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神奈川県弁護士会 所属
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