嵐の前の静けさか?…米ドル/円の週間値幅が「1円未満」まで縮小したワケ【国際金融アナリストが解説】

10月24日~30日の「FX投資戦略ポイント」

嵐の前の静けさか?…米ドル/円の週間値幅が「1円未満」まで縮小したワケ【国際金融アナリストが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円はこれまで、とてもよく動く「高いボラティリティ(変動率)の相場」が続いてきました。週間の最大値幅は少なくとも2円前後となっていましたが、今週に限っては週間値幅が「1円未満」まで縮小。いったいなぜなのでしょうか。マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

今週の注目点…米7~9月GDP発表、中東情勢等

今週は26日に7~9月期の米実質GDP速報値発表が予定されています。事前予想は前期比年率で4%を大きく超える高い数字となっており、定評のある予測モデル、アトランタ連銀のGDPナウなど5%以上といった予想も一部にはあります。

 

また、27日にはFRB(米連邦準備制度理事会)が重視するインフレ指標のPCEコアデフレータの発表が予定されています。これらの結果を確認した上で、11月1日に予定されている次回FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの有無を最終的に探ることになりそうです。

 

〈26日〉米7~9月期実質GDP・速報値(前期比年率)=前回2.1%、予想4.3%

〈27日〉日米9月PCEコアデフレータ(前年比)=前回3.9%、予想3.7%

 

また、イスラム組織のハマスとイスラエルの紛争はなお予断を許さない状況が続いており、これがリスク回避拡大のきっかけになるようなら、安全資産の米国債が買われることで、債券価格上昇、利回り低下をもたらす可能性があるでしょう。

 

今回見てきたように、米長期金利の上昇が続いていますが、それが米ドル買いにつながりにくくなっている可能性は要注意でしょう。その上で、中東情勢などをきっかけにリスク回避が米金利低下をもたらすか、大幅な米金利上昇が景気の先行き減速をもたらす可能性も引き続き注目したいところです。

 

米ドル/円は、冒頭で述べたように小動きが続いており、今週は翌週にFOMCを控え、小動きが続く可能性もあるでしょう。

 

ただ大きく動くなら、米金利上昇に対する米ドル買いの反応も鈍くなっていることを考えると、米ドル安・円高方向ではないでしょうか。以上を踏まえると、今週の予想レンジは147~151円中心で想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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