中小企業の経営層調査、218件の回答結果
サクサホールディングス(HD)が実施した中小企業の経営層(経営者、役員)調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)への投資は「100万円未満」が半数に達した。一方で「DX導入の費用対効果」については一定の評価をする声が多く聞かれた。現時点での中小企業のDX投資は多くないものの、費用対効果が高いとの評価が高まれば将来の投資増が期待できそうだ。
サクサは中堅・中小企業のオフィスのDX支援や情報通信システムの開発、製造、販売などを手掛けている。調査は同社が中小企業の経営者や役員を対象に7月21~24日に実施し、218件の回答を得た。回答した企業の業種は情報通信、建設業、製造、卸売・小売、不動産、サービス、金融・保険、宿泊など。
DX投資の費用対効果、9割が「適正」以上
DXは、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することだ。業務そのものだけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することもDXと呼ばれる。企業間の競争が激しくなる中、生産性の向上や市場の変化への迅速な対応、新商品・サービスの開発などのために必要とされている。
アンケートで「DX施策について年間どれくらいの費用がかかったか」と質問したところ、「100万円未満」との回答が50.8%を占めた。「100万円以上300万円未満」と答えた人も27.1%に達し、「300万円未満」との回答が合計で約8割を占めた。「300万円以上500万円未満」「500万円以上1,000万円未満」はそれぞれ6.8%にすぎなかった。「1,000万円以上」も8.5%にとどまった。
一方で「DX導入の費用対効果についてどう思うか」と聞いたところ、最も多かったのは「適正」で50.8%に達した。「高い」は15.3%、「やや高い」は22%だった。「適正」以上の評価は合計で9割近くに達した。「やや低い」は5.1%、「低い」は6.8%に過ぎなかった。この結果からは、中小経営者が「少ないDX投資の割に一定の効果をあげている」と考えていることが分かる。
今後予定するDXは「書類の電子化」が半分近く
今回のアンケートで「DXで具体的にどんなことを実施しているか」と聞いたところ、「書類の電子化」との回答が49.2%と約半数を占めた(複数回答)。「顧客管理(名刺管理含む)」が47.5%で続いた。
「経費精算」、「情報セキュリティ対策」もそれぞれ40.7%と非常に高い比率を占めた。「電子契約・決済」「スマホ活用」「その他業務管理」も、それぞれ全体の3分の1と比較的高い水準に達した。「勤怠管理」や「PC、スマホ付与によるノマドワーク」も、2割以上の経営者がDXで実施している具体例としてあげた。
「今後、実施する予定のDX施策はあるか」との質問に対しては「電子契約・決済」が27.1%でトップだった(上位3つまでの複数回答)。「情報セキュリティ対策」、「書類の電子化」、「その他業務管理」もそれぞれ20.3%に達した。「経費精算」(18.6%)や「顧客管理(名刺管理含む)」(16.9%)との回答も2割近くに達した。「情報セキュリティ対策」以外では、社内の事務処理の電子化関連の回答が多かった。
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