中小企業経営者へのDXに関する調査
サクサホールディングス(HD)が実施した中小企業の経営者調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)化の目的の回答で「コスト削減」が半分近くにのぼった。一方で「顧客満足度の向上」と答えた経営者は2割超だった。中小企業の経営者の多くが、DXを合理化やコスト削減の手段だと考えていることがわかった。
サクサは中堅・中小企業のオフィスのDX支援や情報通信システムの開発、製造、販売などを手掛けている。調査は同社が中小企業の経営者を対象に7月21~24日に実施し、218件の回答を得た。回答した企業の業種は建設業、製造、卸売・小売、不動産、サービス、情報通信、金融・保険、宿泊など。
日本企業は世界のDXの流れから遅れ
DXは、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することだ。業務そのものだけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することもDXと呼ばれる。企業間の競争が激しくなる中、生産性の向上や市場の変化への迅速な対応、新商品・サービスの開発などのために必要とされている。
ただ、日本では海外に比べて企業のDXが遅れているといわれている。スイスの経営大学院IMDが発表している「世界デジタル競争力ランキング」の2022年版では、日本が63ヵ国・地域中29位と過去最低に落ち込んだ。大企業は海外企業に追いつこうと動いているが、資金力に乏しい中小企業はなお対応が不十分とされている。
DX導入の理由は?
今回の中小企業の経営者アンケートで「DXに取り組んでいる」との回答は、約27%あった。DXを導入した理由について聞いたところ、最も多かった回答は「ペーパーレス化(電子化)」が47.5%でトップ(複数回答)。「生産性の向上」(45.8%)、コスト削減(44.1%)が続いた。「工数削減・業務の効率化」や「働き方改革」(それぞれ35.6%)も高い比率を占めた。
一方で「顧客満足度の向上」は28.8%、「売上高の拡大」は22%だった。米国企業はDXの目的を「事業や業績の拡大」と位置付けることが多いが、日本の中小企業の経営者は、どちらかといえば「コスト削減」を目指しているようだ。
このほか、「情報セキュリティ対策の強化」も28.8%を占めた。総務省によると、情報通信研究機構(NICT)が観測した国内のサイバー攻撃関連通信数は2021年に5000億パケット超と18年の2.4倍に急増した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンラインでのやり取りが増えたことが背景にあるとみられ、マルウエア(悪意のあるプログラム)の被害は急速に広がっている。今回のアンケート結果は、中小企業の経営者にとってもサイバーセキュリティが一段と重要な課題となりつつあることを示したといえる。
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