中小企業、DXがうまくいかない理由は「人材不足」…「成功要因」で最も多かったのは?【経営者アンケート】

中小企業、DXがうまくいかない理由は「人材不足」…「成功要因」で最も多かったのは?【経営者アンケート】
画像:PIXTA

日本企業のDX化は世界に比べて遅れていると言われている。生産性向上や業務効率化、顧客満足度の向上に向けて、中小でもDXが今後さらに進むかどうかが注目される。中小企業のオフィスのDX支援や情報通信システムの開発、製造、販売などを手掛けるサクサホールディングスは、中小企業の経営者にDXに関する調査を実施。同社のコーポレートコミュニケーション室マネジャーの中村連氏が、調査の結果について解説する。

 

中小企業経営者へのDXに関する調査

サクサホールディングス(HD)が実施した中小企業の経営層(経営者、役員)調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)で成果をあげた要因で最も多かったのは「従業員のDXへの理解を深めた」で、全体の半数以上に達した。

 

一方、「DXがうまくいかない理由」を聞いたところ、「社員のDXに対するスキル・理解不足」との回答が最も多かった。日本企業は生産性を高めようとDXを推進しようとしているが、従業員の能力や理解が追い付いていないことが浮き彫りになった。中小企業も今後、企業内外での教育体制の整備が求められる可能性がある。

 

サクサは中堅・中小企業のオフィスのDX支援や情報通信システムの開発、製造、販売などを手掛けている。調査は同社が中小企業の経営者や役員を対象に7月21~24日に実施し、218件の回答を得た。回答した企業の業種は情報通信、建設業、製造、卸売・小売、不動産、サービス、金融・保険、宿泊など。

成功の工夫「戦略作り」「全社横断のプロジェクトに」も

DXは、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することだ。業務そのものだけでなく、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することもDXと呼ばれる。企業間の競争が激しくなる中、生産性の向上や市場の変化への迅速な対応、新商品・サービスの開発などのために必要とされている。

 

 

アンケートで「実施したDXが成果へつながったポイント(工夫)は何か」と聞いたところ、「従業員のDXへの理解を深めた」が全体の54.5%を占め、最も高い割合を占めた。次に多かったのは「DX推進の明確なビジョンや戦略を立てた」で42.4%。「全社横断のプロジェクトにした」も33.3%を占めた。DX施策では、明確な戦略を立てた上で、従業員1人1人が協力していくことが成功の秘訣になるという結果になった。「外部から専門のIT人材を採用した」は21.2%だった。

「うまくいかない」理由に「人材不足」をあげる企業も

 

一方、「DXがうまくいっていない理由は何か」(複数回答)を聞いたところ、最も多かったのは「社員のDXに対するスキル・理解不足」(38.5%)だった。「人材不足」が34.6%で続き、人材の能力や有能な人材の獲得が課題となっていることがわかる。

 

このほか、「DX推進のビジョンや戦略が不明瞭」「ほかに優先してやるべきことがある」も23.1%で続いた。企業の優先順位が低く、戦略や目標が設定されていないことがDXを通じて生産性向上の妨げになっていることを示した。「予算不足」(19.2%)、「経営層の理解が得られない」(7.7%)、「データ管理の情報セキュリティ確保が難しい」(7.7%)といった回答もあった。
 

 

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※本連載は、P&Rコンサルティング編集協力のもと作成しています。

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