新型コロナ以降、雇用が不安定化した中国
直近の2022年の「社会保障就業費」、「衛生健康費」の内訳を振り返ってみよう。社会保障就業費をみると、公的年金関連の支出が全体(3.7兆元)の65.1%と最も多くを占めている(図表2)。
また、前年度からの増加率が高い項目をみると、生活保護事業、就業補助、社会福利、特別貧困救助などが挙げられ、新型コロナ以降続く雇用の不安定化、生活保護や貧困対策と関連する費用が増加していることがわかる。
衛生健康費をみると、新型コロナ関連の公共衛生事業(疾病予防コントロール関連)が全体の28.5%、公的医療保険基金への支出が28.4%を占めている(図表3)。
特に、公共衛生事業は前年比79.0%増と大幅に増加している。さらにその内訳をみると、突発性公共衛生事件応急処理、重大公共衛生サービスといずれも新型コロナ関連の費用、サービス費用に多くが拠出されており、2022年も新型コロナ対策に引き続き経費がかかった点が見えてくる。
一方、2022年の一般会計支出額は26兆552億元で、そのうち社会保障就業費は14.1%を占め、衛生健康費は8.6%を占めている。両者を合計した社会保障関係費は全体の22.7%となり、最大の支出となっている(図表4)。
また、教育、農業・林業・水産業、一般公共サービスなどその他の費目が経費の支出を縮小する一方、社会保障関係費は一貫して増加している。また、社会保障関係費は前年比の増加幅、経費の規模も大きいため、一般会計支出に与えるインパクトは大きい(図表5)。
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