CPI上昇率は3ヵ月ぶりの水準まで低下
インド統計・計画実施省が10月12日に公表した消費者物価指数によると、23年9月の消費者物価(以下、CPI)は前年同月比5.0%(前月:同6.8%)となり、上昇率は3ヵ月ぶりの水準まで低下した(図表1)。事前の市場予想(※1)(同5.4%)を下回る結果であった。
食品価格が野菜や食用油を中心に軟化すると共に、燃料・電力が小幅に下落したことがCPIを押し下げた。 地域別の上昇率をみると、都市部は前年同月比4.7%(前月:同6.6%)、農村部は同5.3%(前月:同7.0%)であった。
9月のCPIの内訳をみると、まず食品は前年同月比6.6%となり、8月の同9.9%から低下した。食品のうち、野菜(同3.4%)をはじめとして穀物製品(同10.9%)や牛乳・乳製品(同6.9%)の価格が鈍化したほか、食用油(同▲14.0%)の価格下落が続いた。特に野菜の価格はトマトを中心に上昇した7月の同37.4%、8月の同26.1%から大幅に低下することとなった(図表2)。
また燃料・電力は前年同月比▲0.1%となり、8月の同4.3%から低下した。2019年11月以来のマイナスの伸びとなった。 コアCPI(食品、燃料を除く総合)は同4.6%となり、8月の同4.8%から小幅に低下した。パーソナルケア(同8.5%)を除く幅広い品目で低下し、7月の水準を下回った。
警戒感が根強く残るも、インフレ率は徐々に緩和か
インド準備銀行(RBI)が隔月で公表する家計のインフレ期待調査によると、23年9月の家計のインフレ期待(※2)(中央値)は3ヵ月先と1年先がそれぞれ9.1%(7月から0.9%ポイント低下)、9.9%(7月から0.4%ポイント低下)となり鈍化した(図表3)。
1年先の家計のインフレ期待は新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来の1桁台に低下した。過去とほぼ同様に期待インフレ率と実際のインフレ率は乖離したままとなっており、乖離幅は4%台で過去3年平均と概ね同水準にある。 9月のCPI上昇率はRBIのインフレの許容範囲である2~6%に収まった(図表4)。
RBIは10月6日の金融政策委員会(MPC)において野菜価格の調整と液化石油ガス価格の下落を背景に、短期的なインフレ見通しは改善すると予想している。先行きのインフレ率については7-9月期が6.4%、10-12月期が5.6%、24年1-3月期が5.2%(23-24年度が5.4%、24-25年度が5.2%)としており、インフレ目標圏内での推移を予測している。
今後インフレ率は徐々に緩和するとみられているが、RBIのシャクティカンタ・ダス総裁は会合後の声明で、中銀のインフレ目標が4%であると強調しており、引き続きインフレ抑制に取り組む姿勢を示しており、インフレ警戒感は根強く残っている。
(※1)Bloomberg集計の中央値。
(※2)実際のインフレ率よりも高めになる傾向がある。
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