前回から、資産運用におけるロボアドバイザーについて、そのビジネスの現状を紹介しています。今回は、前回に引き続いて米国におけるロボアドバイザービジネスの特徴について見ていきます。 ※本連載は、西村あさひ法律事務所の有吉尚哉弁護士、本柳祐介弁護士、水島淳弁護士、谷澤進弁護士の編著書籍、『FinTechビジネスと法 25講』(商事法務)の中から一部を抜粋し、近年、大きな注目を集めている「FinTech」の概要や関連法制について紹介していきます(本稿は、上記書籍の14講の抜粋です)。

ポートフォリオ分析を自動化するロボアドバイザー

②ロボアドバイザーの事業モデル

 

ロボアドバイザーの事業モデルとしては、従来の対面証券会社や銀行・中小投資顧問会社(以下「RIA」という)が上記資産の投資・運用アドバイザリーの3つのステップを対面で行うのに対し、下記の図表のように、①個人投資家に直接サービスを提供するタイプ(ロボアドバイザー直接型)と②対面証券会社やRIAの資産管理型営業を補完するラップ商品インフラ(主に小口顧客向け)を提供するタイプ(ロボアドバイザー補完型)の2種に大別できる(9)

 

【図表】米国ロボットアドバイザーの事業モデル

既存金融機関とロボアドバイザー業者の提携も

③ロボアドバイザー市場の拡大

 

ロボアドバイザー市場の急拡大を受け、ロボアドバイザービジネスのみを行うベンチャー企業だけでなく、既存の大手金融機関も類似のサービスの展開を開始している。2014年には、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが、2015年には、米国最大のリテール証券会社であるチャールズ・シュワブが、ロボアドバイザー事業に参入している。

 

また、バンガードは、上記ロボアドバイザー補完型の事業モデルを採用し、ロボアドバイザーと人によるアドバイスを組み合わせたサービスを提供している。今後は、既存金融機関と既存のロボアドバイザー業者との業務提携が増加することが見込まれており、ロボアドバイザー補完型の事業モデルが増えるものと予測されている(10)(11)(12)

 

脚注

(9)吉永高士「米国のロボ・アドバイザーによるヒトとの競争と共生」NRI2015年3月号

(10)和田敬二朗=岡田功太「米国で拡大する『ロボ・アドバイザー』による個人投資家向け資産運用」野村資本市場クォータリー71号(2015)。

(11)日本経済新聞「投資先、決めるのはアプリ1万円でも世界を視野フィンテックの衝撃」(2015年10月28日付)。

(12)渡邊竜士「FinTechその(1)、ロボ・アドバイザー(自動投資助言サービス)をご存じですか?」トムソン・ロイターViewPoint(2015年6月1日)。

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    本連載は、2016年7月15日刊行の書籍『FinTechビジネスと法 25講』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    FinTechビジネスと法 25講

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