ポートフォリオ分析を自動化するロボアドバイザー
②ロボアドバイザーの事業モデル
ロボアドバイザーの事業モデルとしては、従来の対面証券会社や銀行・中小投資顧問会社(以下「RIA」という)が上記資産の投資・運用アドバイザリーの3つのステップを対面で行うのに対し、下記の図表のように、①個人投資家に直接サービスを提供するタイプ(ロボアドバイザー直接型)と②対面証券会社やRIAの資産管理型営業を補完するラップ商品インフラ(主に小口顧客向け)を提供するタイプ(ロボアドバイザー補完型)の2種に大別できる(9)。
【図表】米国ロボットアドバイザーの事業モデル
既存金融機関とロボアドバイザー業者の提携も
③ロボアドバイザー市場の拡大
ロボアドバイザー市場の急拡大を受け、ロボアドバイザービジネスのみを行うベンチャー企業だけでなく、既存の大手金融機関も類似のサービスの展開を開始している。2014年には、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが、2015年には、米国最大のリテール証券会社であるチャールズ・シュワブが、ロボアドバイザー事業に参入している。
また、バンガードは、上記ロボアドバイザー補完型の事業モデルを採用し、ロボアドバイザーと人によるアドバイスを組み合わせたサービスを提供している。今後は、既存金融機関と既存のロボアドバイザー業者との業務提携が増加することが見込まれており、ロボアドバイザー補完型の事業モデルが増えるものと予測されている(10)(11)(12)。
脚注
(9)吉永高士「米国のロボ・アドバイザーによるヒトとの競争と共生」NRI2015年3月号
(10)和田敬二朗=岡田功太「米国で拡大する『ロボ・アドバイザー』による個人投資家向け資産運用」野村資本市場クォータリー71号(2015)。
(11)日本経済新聞「投資先、決めるのはアプリ1万円でも世界を視野フィンテックの衝撃」(2015年10月28日付)。
(12)渡邊竜士「FinTechその(1)、ロボ・アドバイザー(自動投資助言サービス)をご存じですか?」トムソン・ロイターViewPoint(2015年6月1日)。