誹謗中傷されたときの4つの対処法
1.無視する
誹謗中傷されたときの対応手段として、無視するという方法は考えられます。たとえば、一時的な炎上が原因だったり、または誰から見ても嘘だと判断できるような内容で実害を被っていないといった場合には、無視することも1つです。
ただ、無視しておくことで派生したトラブルが起きることは十分にあり得ます。いわれのない噂が出回ったり、放置することで繰り返し誹謗中傷がなされるリスクは存在します。そのため、無視して放置するよりも、どこかのタイミングで少なくとも弁護士や警察に相談することをおすすめします。
2.削除請求をする
誹謗中傷をされた場合には、まずは証拠を保存しておくことを前提に、「法的に削除を請求することができるかどうか」を検討する必要があります。そのうえで、コンテンツプロバイダ(サイト管理者)に対して削除請求を行います。
コンテンツプロバイダによっては独自の削除フォームを用意しているので、各コンテンツプロバイダの利用規約や削除基準を参照しながら、任意での削除を求めていくことが考えられます。
任意での削除請求は、裁判手続きに比べて迅速に削除できる可能性がありますが、必ず削除されるとは限らないため、サイト管理者を対象に、裁判手続き(仮処分)を利用して削除していくことを検討する必要があります。
ただ、注意点として、今後、発信者を特定するために開示請求をしたいと考えられている場合には、投稿内容について証拠を保全しておかなければいけません。そのため、削除請求をする際には、手順を誤らないことが重要になります。
また、せっかく削除できたにもかかわらず、執拗に誹謗中傷を行う人は一定数いますし、かえって誹謗中傷を内容とする投稿数が増加して被害が拡大することは否定できません。削除をしてはまた投稿するといった、いたちごっことなる可能性もあるので、削除をすることだけが根本的な解決に適さない場合があります。
そこで、実際に投稿した人物を特定するために、プロバイダ責任制限法に基づき発信者情報開示請求手続き(仮処分・訴訟)または発信者情報開示命令(非訟手続)の申立てを行っていく必要があります。
3.発信者情報開示請求をする
前述した削除請求のデメリットの1つである、削除してもまた誹謗中傷が繰り返されることを防止するため、「投稿者を特定して損害賠償請求や今後誹謗中傷しない旨の合意をする」、そして「捜査機関に対して刑事告訴をして刑事処罰を求める」ということが考えられます。
発信者情報開示請求をして投稿者を特定することにより、「今後、同じような誹謗中傷を行えば、法的に厳粛に対処する」といった強いメッセージを発信することができます。そうすることで、根本原因を取り除いたうえで、今後の誹謗中傷を予防しておくことが可能となります。
デメリットとしては、申立てを行ったからといって、必ずしも情報が開示されて投稿者を特定できるわけではないということです。そもそも法的に誹謗中傷であるかどうかに大きな争いがあり、請求が認められないということもあり得ます。
また、請求が認められたとしても、たとえばコンテンツプロバイダであれば「保有情報を確認する」として事実上開示が遅延する場合、既に情報が消えてしまっている場合などがリスクとして存在します。
また、IPアドレスやタイムスタンプが開示され、契約者を特定しようとしても、不特定多数が使用する回線で誰が使用しているのかわからなかったり、技術的な問題からプロバイダ間の相性が悪いなど、さまざまな理由で発信者の特定に至らない場合があります。
4.損害賠償請求をする
発信者情報開示請求により投稿者を特定できた場合や、誹謗中傷をしている相手方が既に判明している場合には、今後誹謗中傷をしない旨の警告書を送付したり、誹謗中傷されたことをもって慰謝料請求をしていくことになります。
まずは任意で交渉することが多いですが、そもそも話し合いにならない場合や合意の条件面に折り合いがつかない場合には、訴訟で解決を図ることを検討します。
デメリットとして、訴訟によって認定される慰謝料の金額は比較的低額になることが多く、数千円程度から100万円程度と幅があります。また、慰謝料を認める判決を取得したとしても、相手にお金がなければ最終的に回収できないこともあり得ます。
そのため、時間と費用をかけてどこまで投稿者の責任を追及するかは、その後の見通しを踏まえて慎重に検討する必要があります。
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