ビジネス編「品切れもリスク、廃棄ロスもリスク」
常務執行役員「うちの子会社のレストランで、最近品切れが頻発してて、お客さまからのクレームがマズイ状態なんだよね」
綾小路 美来「あのレストランって、ハンバーグ定食と焼き魚定食の2種類しかないですよね?」
常務「そうなんだよ。ハンバーグはいいんだけど、焼き魚がやばいみたいだ」
美来「ちなみに、それぞれ1日に何食くらい出るんですか?」
常務「どっちも400食くらいって聞いてる」
美来「へー、平均は同じくらいなんですね。じゃ、ばらつきの問題ですね」
常務「そうだな、ばらつきだよな……ばらつきってわかるの?」
美来「はい、もちろん。標準偏差です。定義とかは、この前お渡しした、めっちゃやさしい統計の本で、あとで確認してください」
常務「こういう、標準なんとかっていう感じの言葉が嫌いなんだよね。ちょっと待って、標準偏差が必要なんだろ。電話でレストランの担当役員に聞いてみる」
……
常務「わかったよ。ハンバーグ定食は標準偏差20、焼き魚定食は標準偏差100って言ってたよ」
美来「そういうことですね。これは焼き魚定食、大変ですよ」
常務「たしかに、数字大きくてなんか大変そう」
美来「端的に言うと、ハンバーグ定食は95%の確率で、360食~440食が1日に売れます。一方、焼き魚定食は95%の確率で、200食~600食が1日に売れます」
常務「なるほど。ということは、ハンバーグは440食分用意しとけば大体大丈夫だけど、焼き魚は600食分用意しないといけないってことだね」
美来「おっしゃるとおりです」
常務「いやー、焼き魚定食、リスクあんな」
美来「さすが常務です。そのとおりで、標準偏差というのは、ビジネス上のリスクを示すものなんです。焼き魚の場合、もし600食分用意して、200食しか出なかったら、400食分が廃棄ロスになってしまいます。とはいえ、少なく用意すると、今のように品切れでクレームの嵐になってしまう。ビジネスマネジメントがハンバーグより断然難しいですね」
常務「よしわかった。焼き魚定食はやめさせて、もっと標準偏差が小さそうなものにするわ。なんかいいのある?」
美来「私、そういうのダメなんです。データがないとわからない……」
常務「そうか、こういうときは、現場の勘と経験のほうがいいってことだな。レストランの担当役員に指示出すよ」
ビジネスの現場においては、平均だけで議論するケースが多く見られる。ただ、平均だけではリスクの判断ができない。ビジネスのリスクは標準偏差を用いて表現できる。レストランの例でわかるとおり、同じ平均でも、標準偏差が大きいことでビジネス上のリスクは増大する。
集団の統計値を見るときには、平均と標準偏差をセットで見ることを心掛けよう。
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