リスクも伴う株式投資。できる限りリスクを低減させて投資を行いたいですが、それには銘柄をどう組み合わせるか、という点がカギを握ると多摩大学大学院MBA客員教授・前田英志氏はいいます。本記事では、同氏の著書『お金から自由になる人生の設計書』(ごきげんビジネス出版)より、株式投資のリスクを減らす方法について解説します。

あらゆる関係を把握することで、リスクを低減できる

ビジネスでも投資でも、関係を正しく把握することは重要である。

 

たとえばコンサルティングビジネスでは、お客さまの役員間の個々の関係(=仲のよさ)の把握は、仕事の成功のために必須となっている。株式投資でも、個々の企業間の株価変動の関係がわかると、リスクを思いきり下げられる。関係を把握するための統計手法としては相関分析を用いる。

 

ビジネスと投資、それぞれについて見ていこう。

 

「関係」をデータで示すと自社製品の強み・弱みが見えてくる

関係を見るためのはじめの一歩は、散布図を書くことである。次の図は、ある企業の製品ごとの価格乖離率(=価格÷類似商品の市場平均価格)と、販売数量の関係を散布図で示したものである。

 

[図表1]製品ごとの価格乖離率と販売数量の関係

 

この散布図より明確にわかるのは、価格乖離率と販売数量が反比例していることである。これは経済原理を考えれば、あたり前田の結果であるが、あたり前のことをデータで明瞭に示すことがまず重要である。

 

次に、一般的な関係で説明できない部分に目を向ける必要がある。このケースでは、AとCである。Aは、価格が高いにもかかわらず販売数量が多い商品、いわゆるプレミアム商品である。一方Cは、その反対のアンプレミアム商品となる。

 

これらプレミアム商品・アンプレミアム商品は重要であり、個々に見ていくことで、本質的な自社の製品の強み・弱みが見えてくるケースがある。

 

上記の具体例で説明した内容は、散布図を用いた分析の定石である。

 

1.関係がありそうな変数を2つ選択する

2.散布図を書く

3.4つの領域に分ける(通常はそれぞれの変数の平均値を用いて分ける)

4.正比例か反比例で示される、主たる相関関係がある領域を分析する(上記例ではBとD)

5.主たる関係から外れている領域を分析する(上記例ではAとC)

 

この流れで分析すると、本質的でかつ説得力が高い説明ができる。たとえ2つの変数のあいだに相関関係がなかったとしても、2×2のマトリクスで整理することには価値がある。各領域に名前をつけ分類する。そして、領域ごとに何をすればいいかを考える。また、領域間を移動するにはどうしたらいいかを考える。応用の仕方は無限である。

 

世の中の多くの知識人が2×2のマトリクスをうまく使い、自分のフレームワークをつくっている。決して難しいことをやっているわけではなく、上記の分析の定石に基づいてやっているだけである。あなたも、ぜひ定石を活用して、ご自身のフレームワークをつくっていただきたい。

 

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