(※画像はイメージです/PIXTA)

富裕層の間で「相続税対策」として人気があった「タワーマンション節税(タワマン節税)」について、国税庁は10月12日までに、マンションの相続税評価額の算定方法の新ルールを定めた「通達」を公表しました。これにより、タワマン節税のメリットは大きく損なわれることになりました。新ルールの内容について、税理士の黒瀧泰介氏(税理士法人グランサーズ共同代表)が、これまでの経緯にも触れながら分かりやすく解説します。

国税庁が通達で定めた「新ルール」の内容

以上を前提に、国税庁が新通達で定めたマンションの相続税評価額の計算ルールについて解説します。タワマンだけでなく、マンション全体に対して適用されるルールですが、特にタワマンが大きな影響を受けるものとみられます。

 

補正は、以下の2段階で行われます。

 

【新通達におけるマンションの相続税評価額の計算ルール】

・第1段階:「乖離率」を算出する

・第2段階:「乖離率」が「1」未満または「3分の5」超であれば補正を行う

 

◆第1段階:「乖離率」を算出する

まず、第1段階として、「乖離率」を算出します。これは、市場価格と相続税評価額がどれだけ乖離しているかを示すものです。「1」未満であれば相続税評価額が市場価格よりも高く乖離しており、「1」を超えると相続税評価額が市場価格よりも低く乖離していることになります。計算式は以下の通りです。

 

【乖離率の計算式】

乖離率=A+B+C+D+3.220

 ・A:築年数×(-0.033)

 ・B:総階数指数(総階数÷33)×0.239(小数点以下第4位切り捨て)

 ・C:住戸の専有部分の所在階×0.018

 ・D:住戸の敷地持分狭小度×(-1.195)(小数点以下第4位切り上げ)

 

数値Bの「総階数指数」は総階数÷33です(小数点以下第4位切り捨て)。

 

数値Dの「敷地持分狭小度」は、住戸の「敷地利用権」の面積を「専有部分」の面積で割った値です(小数点以下第4位切り上げ)。

 

ややこしい計算式ですが、国税庁によれば統計データを基に計算式を組み立てたとのことです。

 

◆第2段階:「乖離率」が「1」未満または「3分の5」超であれば補正を行う

第2段階では、第1段階において算出された「乖離率」が「1」未満の場合と、「3分の5」(約1.67)を超えた場合について、相続税評価額が補正されることになります。

 

すなわち、もともとの相続税評価額に、以下の「補正率」をかけて計算します。

 

【補正率】

・評価乖離率が「1」未満の場合:補正率=評価乖離率

・評価乖離率が「3分の5」超の場合:補正率=評価乖離率×60%

 

評価乖離率が「1」~「3分の5」の範囲におさまっている場合は、補正を行いません。

 

これは、戸建て住宅の場合と平仄を合わせるものといえます。すなわち、パブリックコメントにおける国税庁の説明によると、戸建ての場合は統計上、相続税評価額が市場価格の60%程度の水準となっており、それを踏まえたものです。

 

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