(※画像はイメージです/PIXTA)

地金大手の田中貴金属工業が10月16日に発表した「金」の日本国内での店頭小売価格は1g=1万233円と、過去最高値を更新しました。パレスチナ情勢の緊迫化と昨今の円安を受けてのものとみられます。金はよく「有事の金」といわれ、株式・債券とは異なる「安全資産」と位置付けられています。しかし、保有を考えるうえでは4つのリスクに注意が必要です。本記事で解説します。

金(ゴールド)が「有事の資産」といわれる理由

金はよく「有事の金」といわれてきました。株式や債券と異なる値動きをし、しかも値動きが比較的安定していることから、リスク分散のための投資対象とされてきました。その理由は、金は全世界で古くから、「その物自体」に価値があるものと扱われてきたからです。

 

「貨幣」「株式」「債券」はそれ自体に価値があるわけではありません。そこに付加価値が見出された結果、「資産」として見出されるものです。これに対し、金は、埋蔵量も含め全体量に限りがあり、かつ、質が変わりません。だからこそ、金は地域、時代を問わず、高い価値があるものと扱われてきたのです。

 

したがって、もしも大暴落や戦争といった「有事」が起きて「貨幣」「株式」「債券」が価値を失うような事態になっても、価値が下がらないのです。むしろ、有事のときのほうが、価格が上昇する傾向があります。

 

なお、金をはじめとする貴金属(他にプラチナ、銀等)、非鉄金属(銅、アルミ等)、エネルギー(原油、天然ガス等)、穀物(小麦、トウモロコシ等)は「コモディティ商品」とよばれます。金は、コモディティ商品のなかでもとりわけ価値が高いものとして扱われています。

金を保有する場合の4つのリスク

では、金を保有していれば安心なのかというと、そうともいい切れません。以下の4つのリスクを理解する必要があります。

 

【金に投資する場合の4つのリスク】

・金利も配当も発生しない

・「有事」に購入すると損をする可能性がある

・値動きが読みづらい

・盗難や災害等の被害に遭う可能性がある

 

それぞれについて説明します。

 

◆金利も配当も発生しない

第一に、金はそれ自体が価値のあるものですが、その代わり、新たな価値を生み出すことはありません。たとえば債券を保有していれば「利金」、株式を保有していれば「配当」を得ることができますが、金は保有していてもそういった利益は得られません。

 

金への投資によって得られる利益は「値上がり益」(キャピタルゲイン)のみです。したがって、何事もない「平時」には、金を保有していることによる旨味は少ないといわれます。

 

◆「有事」に購入すると損をする可能性がある

第二に、「有事」に購入すると損をする可能性があるということです。「有事の金」といわれますが、これは、有事に金に投資をすべきということではありません。

 

平時に購入しておいた金が、有事になると値上がりする可能性が高いということをさしてのものです。有事が起きたときには既に金の価格が上昇しています。

 

前述のように、金に投資することで得られる利益は「売却益」のみです。もしも値上がり益を見込むのであれば、「平時」に金を購入し、「有事」が起きたときに売却するということになります。もしも「有事」のときに金を購入すれば、その後に事態が収束したときにむしろ値下がりするケースも考えられます。

 

なお、次項でも述べますが、「有事」がいつ起きるかは予測が困難であり、起きないほうがよいものです。

 

◆値動きが読みづらい

第三に、金は値動きが読みづらいということがあります。

 

まず、前述したように、金価格が値上がりする可能性が高い「有事」は予測困難なことが多くなっています。近年では2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻や、2023年10月に発生したイスラエルとパレスチナの紛争は、いずれも事前に予測困難でした。

 

また、金は、貨幣(米ドル等)や株式や債券と異なる値動きをしますが、必ずしも、それらが下落したときに値上がりするというわけではありません。たとえば、「ドル高」でも「株高」でも金が買われることがあります。

 

◆盗難や災害等の被害に遭う可能性がある

第四に、金は、盗難の被害に遭う可能性があります。また、災害等による滅失のリスクもあります。したがって、できるだけ自分で管理しなくていい状態に置くことが大切です。

 

このように、金は「有事の金」といわれるものの、値動きが予測しにくく、利益を得られる確実性も低いといわざるを得ません。あくまでも、金は、貨幣や株式、債券等と異なる値動きをする「コモディティ資産」の代表として、他の資産がすべて値下がりしてしまった場合に備えての「リスク分散」の観点から有益だと考えられるということです。

 

また、自身で保有して管理する場合には、盗難被害に遭うリスクや災害等での滅失のリスクもあります。

 

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