有名私大卒…“なんとなく”国家公務員になったA氏
現在43歳のAさんは、都内の有名私大出身です。就職氷河期のピークといわれる2003年、Aさんは「就職活動で辛い思いをしたくない」「なんとなく安定していそう」といった理由から、国家公務員試験を受験。無事国家一般職に採用されました。
入省後は2年~4年間隔で全国各地を転勤する日々となりましたが、30歳で同僚と結婚。その後も転勤の都度家族と一緒に引越し、現在はとある地方の公務員宿舎に住んでいます。
一方、Aさんの大学の同級生で親友のBさんは、厳しい就活を勝ち抜き、東証一部(現在のプライム市場)上場の大企業に就職しました。入社後は幼なじみと結婚し、35歳で都内にある6,500万円のマンションをローンを組んで購入。現在もそこで暮らしています。
マイホームを買い、起業を考える親友Bさん…親友との違いに唖然
Aさんは本省に出張した際、Bさんを誘って久しぶりに飲みに出かけました。
社内でも出世頭で、部長職目前だというBさん。「取引先からさ、役員として来てくれないかって誘われてるんだ。俺の目論見ではその会社に10年くらい勤めたあと、下の子が大学を卒業したら、そのタイミングで起業してもいいなと思ってるんだよね」と言います。
さらに、「公務員の年金は厚生年金に一元化されたらしいけど、それってつまり年金の受給額が減って保険料は高くなったってことだろ? まあ、とはいえ “親方日の丸※”でつぶれる心配もないだろうし、Aは定年まで勤めるんだろ?」と続けます。
※ 親方日の丸:官庁や公営企業は、経営に破綻をきたしても倒産する心配がないので、厳しさに欠け、経営が安易になりやすいという皮肉(デジタル大辞泉より)。
起業? 年金? Aさんはこれまで自身の働き方や老後について考えたことがありません。ぼんやりと「まあ、そうかな」と返し話題を変えましたが、その夜から「あいつは会社を辞めて起業するっていうけど、自分はこのまま定年まで勤め続けて大丈夫なのか……老後はどうする?」と、人生で初めて真剣に将来を悩み始めたのでした。
公務員の“安泰神話”は崩壊…AさんとBさんの資産状況
悩んだAさんは、Bさんの話を思い出しながら、まず自身の家計をBさんと対比してみることにしました。
※1 人事院「令和4年国家公務員給与等実態調査報告書」によると、平均年齢 42.5 歳の平均給与月額(俸給および諸手当の合計)は 41万3,064 円とAさんはほぼ同じ。
※2 厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より大卒の40~44歳の平均賃金41万4,800円。大企業(従業員1,000人以上)勤務の男性40~44歳の平均賃金41万1,900円ともにBさんは上回っている。
※3 ボーナスも含む。
※4 国家公務員の定年は、令和5(2023)年4月から2年に1歳ずつ引き上げられ、令和13(2031)年4月から65歳になる。
※5 85歳以降はAさんの「退職等年金給付」の有期分受給が終了し、年金約320万円月額26.6万円に。詳細は後述[図表3]※を参照。
Aさんの月給は41万円、ボーナスを含めた年収は約650万円です。国家公務員の平均給与月額(俸給および諸手当の合計)は 41万3,064 円(人事院「令和4年国家公務員給与等実態調査報告書」より)ですから、Aさんは国家公務員の平均的な収入を得ています。
AさんはBさんとの会話を思い出しながら書き出した図をじっくり見比べ、「行動を起こすならいまかもしれない。でも……」と思い悩む日々を過ごしていました。
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