理事長は誰がやっても同じ?
ある週末、ナンデさんの息子が久しぶりに遊びにやって来ました。最近、都心に中古マンションを購入したのですが、そのマンションでは10年以上、同じ人が管理組合の理事長を務めていて、いろいろな問題が持ち上がっていると言うのです。
息子:理事長が管理会社と癒着しているらしくてさ。そのせいで住民の苦情とかは何にも解決されないんだって。あーあ、どうりで相場より安いと思った。
ナンデ:そんなこと、マンションの値段と関係ないだろ。だいいち、理事長なんて同じ人がやってくれるんなら、ラクでいいじゃないかー。
息子:うーん、そうかなぁ。
「ワンマンタイプ」が長く理事長を続けると・・・
理事長や理事には2つのタイプがあると思います。区分所有者や理事メンバーから信頼がおかれるタイプと、信頼がおかれないタイプです。
その信頼がおかれるタイプの人物が理事長や理事になり、長期間に渡って役職を独占するのであれば問題はなく、好ましい場所が多いと思います。むしろこのような人格者であれば、周囲から「これからも続けてください」とお願いされてやめることができずに、理事長や理事を継続しているのではないでしょうか。
一方、区分所有者や理事メンバーから信頼されていないワンマンタイプの人物が、立候補で理事長などを何年も独占しているとしたら・・・。こちらのケースは、大きな問題になってきます。
管理規約に再任に対する規定が何も書かれていない場合や、「再任は妨げない」と書いてあった場合には、理論上、ワンマンタイプの理事長が複数年就任することが可能になってしまいます。これはマンションにとって、最悪のパターンだと思います。
例えば時々、耳にするのが、理事長が管理会社や工事会社と癒着してバックマージンをもらっていた、という話です。発覚するまでに何年もかかるケースが多く、そうなると管理組合にとっては、金銭的にも機能的にも大変な被害をこうむってしまいます。
管理会社はしょせん業務委託先ですから、管理組合で不正や問題が起こったとしても、手も足も出せません。指を加えて見ているしかできず、結局は火の粉を浴びるのはマンション住民で、自らが火消しに奔走しなければならないのです。
リーダーをバックアップする「周囲の熱意」も重要に
理事長を任せるならば、どのような人物が適任なのでしょうか。筆者の会社の顧問先マンションでも、理事長を長期継続している方がいらっしゃいますが、これには共通した条件があります。
1つ目は、信頼される人間力があること。あの人がやっていることなのだから「私は支援します」と多くの人が言ってくれる。これが、いわゆる人間力だと思います。
2つ目は、熱意・努力・勉強などを持続する力があること。「分からなくても分かろうとする」「事前の準備を怠らない」という姿勢が大切だと思います。
3つ目は、理事会運営が上手であること。個人の意見に執着せず、多くの方々の意見を取り入れることができるかどうかがポイントです。
4つ目は、話が分かりやすいこと。たとえ話が分かりにくくても、資料にまとめたり、データ化・グラフ化をして、短い時間で多くの人に正しく言いたいことを伝える工夫ができればいいと思います。
そして5つ目は、リーダーシップ。管理組合は中小企業の経営と一緒ですから、決断をする力が不可欠です。以上、5つの条件をすべて満たした人はそういるものではありませんから、いくつかでも当てはまる項目があればいいと思います。
また、理事長が有能だからそれで十分かといえば、そうではありません。大切なのは、理事や区分所有者の皆さんの熱意です。管理組合を変えていこうと思う「熱意」こそが、大きな変化をもたらすと思います。皆さんで協力し、支え合いながら、一歩一歩乗り越えていきましょう。
すべてを兼ね備えた人はそういませんから、上記のうち、いくつかでも当てはまればいいと思います。何より大事なのは、理事長をバックアップする人がいるかどうか。他人事ではなく皆さん一人ひとりの熱意が、とても大事なんです!