今回は、マンションの「管理規約」の重要性について説明します。※本連載は、一級建築士・須藤桂一氏の書籍『まちがいだらけのマンション管理タブー集』(誠文堂新光社)の中から一部を抜粋し、マンション管理組合の理事や役員の方が間違えやすい点、その結果として生じる問題などについて、1つずつ具体的に取り上げ、わかりやすく解説します。

「管理規約を読むのは後回しでいいよね」

アラタニ理事長は、「イヤイヤながらだったとはいえ、せっかく理事長になったのだから管理規約にちゃんと目を通しておこう」と思いました。

 

理事長:管理規約って・・・あー、これこれ。

 

――ページをめくり、中身を見たとたん・・・。

 

理事長:うわっ、なんだか小さい字でずらずら書いてあって読みにくいなー。それに、専門用語も多いし。めんどくさいな・・・うん、そうだ! もう少し理事長に慣れてから読むことにしよう。

 

――そして2度と読むことはありませんでした。

管理規約はマンションの「経済価値」に影響を及ぼす

管理規約は、マンション管理組合にとって根本規約とも言われるものです。ちなみに国土交通省の「マンション標準管理規約」では、「マンションの管理又は使用に関する事項を定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする」とされています。

 

管理規約の内容は、マンションの経済価値に大きく影響するものなのですが、国の標準規約をもとにデベロッパーが少し手を加えた程度の内容を、吟味する余地もなく押しつけられているのが現状です。

 

先日、築20年のマンションで「管理会社との解約は4分の3の特別議決とする」と書かれた管理規約を見ました。2分の1の普通議決で管理会社との契約変更や解約ができるのが一般的ですが、このマンションでは規約で特別議決と定義されていたのです。

 

ところが20年以上もの間、住民の誰も気がつかず、管理委託の見直しの場面で管理会社はこの規約を盾にとって「この決議は特別決議ですから高いハードルですよ」と言ってきたのです。

 

また、よくあるのが区分所有者しか理事になれない管理規約です。ご主人名義だけれど、仕事が忙しいご主人に代わり奥さんが一生懸命やろうとしても規約に阻まれてしまいます。あるいは賃貸で貸している区分所有者(外部所有者)は理事になれないと書かれているなど、現実に即してないケースが少なくありません。

 

管理規約の改定には4分の3の特別決議が必須ですし、管理規約の改正は言わばマンションの憲法改正ですから、あらゆる角度から議論や検討、事前の準備など、時間と手間をかける必要があります。

 

約款のように細かい字が並んでいるので読むのは苦痛かもしれませんが、大切な書類ですから早いタイミングで一読することをおススメします。

まちがいだらけのマンション管理 タブー集

まちがいだらけのマンション管理 タブー集

須藤 桂一

誠文堂新光社

分譲マンションの住人にとって、管理費や大規模修繕計画・長期修繕計画などの見直しは今や避けられない問題です。特に2000年以降、大量に供給されたマンションの多くは、現実にその問題にぶち当たっています。湾岸地域のマンシ…

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