「理事長! とっとと進めてください」
駐輪場の設備変更についての説明会を開催したところ、予想よりも多い人数が集まってしまいました。なかには、理事会活動には協力しないのに長々と質問する出席者・コマタさんがいて、なれない理事会のメンバーは対応に四苦八苦です。
コマタ:マナーが悪いから、こんなことになるわけだろ。どんな設備にしたって同じだよ。それよりさ、マナーの悪いヤツの名前を貼り出せばいいじゃないか、だから・・・。
理事長:(話を止められずに)はぁ・・・。
コマタ:だいたい、いつだって・・・。
――話が延々続き、ムッとした表情の他の出席者。しびれを切らしたAさんが・・・。
住民A:理事長! とっとと進めてください。まったく、だらしない理事会だな。
問題児対策の1つとして有効な「事前質問書」の活用
総会は、管理組合において「意思決定の最高機関」です。総会では出欠をとるだけでなく、委任状・議決権行使書も必須です。こうした書面も集めて総会の成立要件を満たしたときに、初めて総会は有効に成立します。
ところが、ようやく総会にこぎつけたにも関わらず、足を引っ張る存在がいます。それが、どのマンションに行ってもよく見かける、いわゆる「問題児」です。
声の大きな少数の問題児や反対者によって、理事会でせっかく練った議案や、委任によって賛成した人たちの意見も尊重されずに、結局廃案に追い込まれてしまうことがよくあります。こうした事態を避けるには、理事長や議長は毅然とした態度で臨むことが大切だと思います。
また、問題児によって質疑の時間を占領されて総会が紛糾することもよくあるので、「事前質問書」などを前もって配布し、質問を出してもらうのも1つの方法です。
そうすれば理事会側は、質問に対して事前に調査・回答の整理を行うことができ、本番では明快に短時間で回答することが可能になります。こうして効率的な進行を実践できれば、審議終了後に自由に意見を述べてもらう時間を確保することもできます。
議事審議中は多くの議案を決められた時間内で採決しなければならず、議案とあまり関係のない質問などは後回しにせざるを得ません。しかしそうした質問にこそ、管理組合運営に役立つヒントが隠されていたりするものです。
そもそも反対者の意見や考えをよく理解することは、より良い維持管理につながりますから、ぜひ効率的な議事進行・議決を目指していただきたいと思います。
「1世帯1議決の徹底」で信頼度もアップ
総会出席者のなかには、総会に出席できる権限のある人と、権限のない人がいます。
区分所有者が出席できるのは当然ですが、例えば夫婦で参加してくる場合、ご主人は区分所有者だけれど奥さんはそうではないケースが多いかと思います。また大型マンションになると、外部の人がまぎれてくる可能性さえあります。
そこで総会では受付をしっかり行い、「1世帯1議決」を徹底しないと、決の数字を間違える可能性が生じます。
効率的にかつ確実に運営するために、例えばご夫婦での参加者には1票となるように受付時に色のついた紙を渡し、その色紙で挙手をしていただくのも1つの方法です。
大型マンションでは、挙手した数をカウントする係り、集計する係り、その議決数の発表の仕方などを、しっかり検討しておく必要があると思います。私が見てきたマンションでは、カチカチと押して人数を数えるカウンターを用意しているところもありました。
他にも、想定問答集などを用意して「誰がどのタイミングで話をするのか」を理事同士で事前に周知しておくのもいいでしょう。
そして総会終了後には、議事録の作成が必須です。あまり時間が経つと何を話したのか忘れてしまいますから、議事録を作成する目安は2週間以内。できあがったら、参加できなかった方々に配布して見てもらうことが大切です。
株主総会などと違い、管理組合の理事長や理事はそもそも素人ですから、初めての総会経験者ばかりだと思います。何もかも自分たちで抱え込もうとせず、「有意義な総会にするためにサポートをお願いしたい」と、管理会社に意欲を伝え、サポートを促すことも必要です。
効率的でスムーズな運営ができれば、理事の皆さんのストレスが軽減されるばかりか、理事会に対する出席者の信頼度アップにもつながります。