(※写真はイメージです/PIXTA)

「年間110万円までの贈与は非課税」というルールを知っている人は多いでしょう。しかし、なかには「あえて110万円超の贈与を行い、贈与税を支払っている」人もいると、多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏はいいます。いったいなぜなのか、詳しくみていきましょう。

110万円以上の贈与を“無申告”…待ち受ける重いペナルティ

贈与税は申告しなくても、すぐさま税務署にバレるということはありません。

 

たとえば今日親から200万円をもらい、申告も納税もしなかったとしても、税務署も個人の資金移動をすべて把握するのは不可能ですので、すぐにはわからないと思います。

 

しかし、だからといって油断は禁物です。税務署には、贈与を見逃さない仕組みがあるのです。

 

たとえば相続があったような場合は、過去10年ぐらいの預金通帳の動きをチェックされるため、大きな資金移動があった場合など贈与が疑われることとなります。

 

また、不動産を購入すると税務署から、「(不動産を購入した)お金をどのように用意しましたか?」などという“お尋ね”が来たりします。つまり、結果的に贈与があった事実は税務署側にわかってしまうことが多いです。

 

「それでも、なにか抜け道があるのでは?」などと思わないでください。申告と納税は国民の義務ですから、贈与税の申告を行わなかった結果あとから修正申告することになると、本来納めるべき贈与税のほかにペナルティとして「加算税(15%~40%)」と本来納めるべき期限より遅れた分の延滞税(最大年14.6%)が課されることとなります。

 

贈与税はそもそも税率が非常に高いことに加え、加算税及び延滞税を納める事態を考えると……正しく申告と納付を行うほうがいい、というのがおわかりになると思います。

あえて贈与税を払ったほうがいいケースとは?【試算】 

まず、相続税と贈与税の税率について比較してみましょう。相続税は法定相続人の取得金額が6億円を超えた場合に税率が55%となりますが、贈与税は特例税率の場合、4,500万円を超えると55%となりますので、贈与税の税率がすぐに最高税率になるのがわかると思います。税率は以下のとおりです。

 

[図表]相続税と贈与税、それぞれにかかる税率

 

贈与税を払ったほうが有利なのかどうかを知るためには、自分の財産を正確に把握しておくことが必要です。そのため、ご自身の相続税の試算をしてみるとよいでしょう。その際には法定相続人を想定し、配偶者控除の特例や小規模宅地等の評価減も適用したうえで行うことが大切です。

 

たとえば相続税に対し30%の税率が適用される場合、それ以下の贈与税率で贈与をしておけば、贈与税を支払ったとしても結果的に節税できるということになります。

 

では、【相続財産が3憶円で、法定相続人が子ども3人】というご家庭を例に、

 

1.毎年3人に110万円ずつ5年間贈与した場合

2.毎年3人に550万円ずつ5年間贈与した場合

 

の2つのパターンで、それぞれかかる贈与税と相続税の金額を試算してみましょう。

 

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