一方、知財活用が“限定的”な日本企業
一方、日本企業では、ブランド、デザインなどはそれぞれの部門が管轄しています。
いわゆる「知財部」は、経営企画やマーケティング、広報とはあまり関わっていないことが多く、企業全体としての知財の活用が部門横断でできていないことが少なくありません。これでは世界市場を制するためのトータルマネジメントができないのも無理はありません。
どこで顧客のハートをつかみ、どのように揺るぎないビジネスモデルをつくり、どのようにして稼ぎ続けるのか。そして、知財ミックス※をいかに全社の企業活動に組み込んでいくか。全社を挙げてその戦略を十分に練り上げ、それに沿った組織運営をしていく必要があります。
※ 「知財ミックス」……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。
アップルの場合であれば、誰もがその洗練されたデザインを体感することができます。それが世界中のファンを魅了し、ファンから愛され続ける理由のひとつになっています。
同社がその世界観を崩さないことに力を注いでいるからこそ、アップルのユーザは何十年もファンとしてついてくるわけです。アップルの店舗に行けば分かりますが、すべてのデザインが洗練され、デザイン、ロゴ、音、形状など、あらゆるものが計算されており、それが五感を刺激し、ファンの心をつかんで離さないものになっています。
そのような唯一無二のアップルの世界観は、ミックスされた知財によって支えられているのです。
ビジョンを軸に、お客様に届けたい世界観を明確にしつつ、それをいかに徹底して提供できるか。それが、知財ミックスで世界市場での競争力を維持していくための大前提となります。
鈴木健二郎
株式会社テックコンシリエ代表取締役
知財ビジネスプロデューサー
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