唯一無二の世界観を守るため…アップル社が「世界中の拠点で徹底している」ルール【知財活用のプロが解説】

唯一無二の世界観を守るため…アップル社が「世界中の拠点で徹底している」ルール【知財活用のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的大企業として君臨するアップル社。その強さを保つ理由は、「世界観の維持」にあります。今回は、『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』著者の鈴木健二郎氏が、アップルが世界観を維持できる理由と、日本企業がアップルから学べることについて解説します。

一方、知財活用が“限定的”な日本企業

一方、日本企業では、ブランド、デザインなどはそれぞれの部門が管轄しています。

 

いわゆる「知財部」は、経営企画やマーケティング、広報とはあまり関わっていないことが多く、企業全体としての知財の活用が部門横断でできていないことが少なくありません。これでは世界市場を制するためのトータルマネジメントができないのも無理はありません。

 

どこで顧客のハートをつかみ、どのように揺るぎないビジネスモデルをつくり、どのようにして稼ぎ続けるのか。そして、知財ミックスをいかに全社の企業活動に組み込んでいくか。全社を挙げてその戦略を十分に練り上げ、それに沿った組織運営をしていく必要があります。

※ 「知財ミックス」……企業や個人レベルで蓄積してきた技術やアイデアなどの多様な知財を多方面に張り巡らし、時代を先読みして持続可能な価値に変える仕組み。

 

アップルの場合であれば、誰もがその洗練されたデザインを体感することができます。それが世界中のファンを魅了し、ファンから愛され続ける理由のひとつになっています。

 

同社がその世界観を崩さないことに力を注いでいるからこそ、アップルのユーザは何十年もファンとしてついてくるわけです。アップルの店舗に行けば分かりますが、すべてのデザインが洗練され、デザイン、ロゴ、音、形状など、あらゆるものが計算されており、それが五感を刺激し、ファンの心をつかんで離さないものになっています。

 

そのような唯一無二のアップルの世界観は、ミックスされた知財によって支えられているのです。

 

ビジョンを軸に、お客様に届けたい世界観を明確にしつつ、それをいかに徹底して提供できるか。それが、知財ミックスで世界市場での競争力を維持していくための大前提となります。

 

 

鈴木健二郎

株式会社テックコンシリエ代表取締役

知財ビジネスプロデューサー

 

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※本連載は、鈴木健二郎氏の著書『「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス』(ポプラ社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

「見えない資産」が利益を生む GAFAMも実践する世界基準の知財ミックス

鈴木 健二郎

ポプラ社

アップルが、銀行やホテルを始めるのはなぜか? 会社のイノベーションの材料は、社内に埋もれている! 「知的財産」を最大活用する新規事業のつくり方。 三菱総研、デロイトトーマツコンサルティングを経て、特許庁・経…

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