(写真はイメージです/PIXTA)

「婚期は女性の話題である」というのは大きな誤解で、統計的にみると女性を上回る数の男性が結婚に至らないまま50歳を迎えています。本稿では、ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏が3つの統計データを分析し、「未婚化社会」拡大の原因について解説します。

3―男性の結婚適齢期は女性より長いという誤解

2022年に結婚生活を開始した3とみなされた全婚姻のうち、初婚同士の男女の結婚年齢分析を実施した(図表2)。

 

 

平均初婚年齢から受けるイメージとは裏腹に、男性について以下のような実態が算出された。

 

  • 男性の結婚ピーク年齢 27歳(平均初婚年齢31歳より4歳乖離)
  • 29歳までの男性の結婚 全体の55% (過半数)
  • 32歳までの男性の結婚 全体の72%
  • 34歳までの男性の結婚 全体の80% (5組に4組)
  • 38歳までの男性の結婚 全体の90%

 

初婚同士での結婚となった男性の過半数が20歳代の男性であることに驚く読者は多いのではないだろうか。平均初婚年齢の平均を「普通は」と読み替える読者が少なくない。しかし、平均値は異常値に大きく左右される傾向が強い指標である。

 

つまり、以前は見られなかったような高齢男女の結婚が発生することで、高齢化社会においては平均結婚年齢が大きく引き上げられることになる。

 

平均値への理解不足で結婚のピーク年齢が上昇したかのような錯覚にとらわれると、30歳を過ぎたあたりで「気が付けば気になっていた相手は既婚ばかり」という状況に男性が陥るリスクが高いことがイメージできる。

 

32歳で男性成婚者の7割、34歳で8割を占めることから、男性であっても30歳代前半までが結婚しやすい「婚期」であり、30歳代後半ともなると、客観的な水準で相当上位に入るようなハイスペックな条件が必要となる。

 

「所詮女性はお金だ」という意見が結婚支援現場ではいまだに挙がる4。しかし、それは30歳代後半からの男性に集中する意見ともいえる。つまり、統計的に年齢条件が婚期を過ぎていることを果たしてどれくらいのお金で補填できるのか、という視点が30歳代後半からは必要ということである。

 

しかし、成婚データを見る限り、お金だけでなく、非常に厳しいリカバー条件のクリアが必要となるだろう。

 


3 婚姻届の提出と結婚生活の開始の双方が2022年内に認められる結婚。

4 筆者は2020年の5月より全国の自治体や民間の結婚支援団体をメンバーとする結婚支援に関するデータ研究会を立ち上げており、現在10の都県から参加がある。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年10月2日に公開したレポートを転載したものです。

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