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相続権を持っている相続人はどのようなルールで定められているのでしょうか? 民法で決められている法定相続人について解説していきます。

相続権を持つ法定相続人

相続権のルールについて詳しく見ていく前に、まずは法定相続人とはどのような人なのか解説します。基礎知識を押さえることで、相続権についてより理解しやすくなるでしょう。

 

法定相続人とは?

被相続人が遺言書を作成していない、もしくは遺言書に指定のない遺産がありその相続について協議しなければいけない、というときに関係するのが『法定相続人』です。

 

遺産はもともと被相続人の私有財産のため、死後の処分を自由に決められます。ただし生前にあらかじめ決めていなかった場合、そのままでは誰が遺産を引き継いでよいかわかりません。そこで配偶者や被相続人と血縁関係にある法定相続人が遺産を引き継ぐのです。

 

◆法定相続人は民法で決まっている

法定相続人は『民法』で定められています。誰が法定相続人になれるかはもちろん、遺産を引き継ぐ範囲・順番・割合など全てのルールが法律で定められているのです。

 

相続について知りたいなら、まずは民法の内容を押さえましょう。誰が誰の遺産をどのくらい引き継ぐのか目安がわかります。遺言がなく遺産分割協議を実施する場合も、民法をもとに進められるケースがほとんどです。

 

法定相続分は、遺言がない場合の相続割合

民法では法定相続人の他に『法定相続分』も定められています。遺言書がない状態で相続を行うときには、法定相続分をもとに割合を決めるのが一般的です。

 

法定相続分は相続人の順位によって異なります。同順位の相続人が複数いるなら、人数分で均等に分けた金額を引き継げるルールです。

法定相続人の範囲と優先順位と割合

民法では誰が法定相続人になるかと同時に、優先順位と引き継げる遺産の割合が定められています。具体的に誰が法定相続人となり、どれだけの遺産を相続できるのかチェックしましょう。

 

配偶者は必ず相続人になる

法定相続人の中で最優先なのが『配偶者』です。必ず相続人になれますし、法定相続分が最も多く割り当てられる、相続税がかからないことが多い、一定の条件下で配偶者居住権が認められるなど、他の相続人と比べて優遇されています。

 

ここでいう配偶者とは、婚姻届を提出して法的に婚姻関係を結んでいる相手のことです。事実上夫婦として暮らしていたとしても、入籍しておらず内縁の妻・夫という状態では法定相続人として認められません。相続時に法的に婚姻関係を結んでいることが要件のため、元妻や元夫も相続人にはなれない決まりです。

 

第1順位は子ども

配偶者以外の相続人は優先順位が決まっています。第1順位は『子ども』です。被相続人に配偶者と子どもがいるなら、配偶者と子どもの双方が法定相続人になります。

 

子どもしかいない場合、子どものみが法定相続人です。また子どもが複数いるときには、第1順位の権利を人数で等分します。

 

もしも子どもが既に死亡しているなら、法定相続人の権利は孫へ移行します。このように本来の相続人に代わり相続人になるのが『代襲相続』です。第1順位のケースでは何代でも下へ続き代襲相続します。

 

第2順位は直系尊属

第1順位である子どもや孫など下の世代の血族がいない場合、相続権は第2順位の『直系尊属』へ移ります。直系尊属とは父母や祖父母など被相続人より上の世代の血族です。

 

配偶者がいるなら配偶者と父母が、配偶者がいないなら父母のみが法定相続人となります。父母が既に死亡しているなら祖父母が、祖父母が既に死亡しているなら曾祖父母がというように、第2順位では世代をさかのぼって法定相続人が決まります。

 

ただし父母と祖父母の両方が健在のときには、一親等の父母のみが法定相続人として遺産を引き継ぐことを覚えておきましょう。

 

第3順位は兄弟姉妹

被相続人に、子どもや孫も、直系尊属である父母や祖父母もいないときには、第3順位の『兄弟姉妹』が法定相続人です。配偶者がいれば配偶者と兄弟姉妹が、配偶者がいないなら兄弟姉妹のみが相続権を持ちます。

 

兄弟姉妹が死亡しているときには、甥や姪が代襲相続します。ただし第3順位の代襲相続は1世代のみです。甥や姪の子どもへは代襲相続しません。また、被相続人の兄弟姉妹は『遺留分』(最低限保証されている相続割合)が認められていないことも覚えておきましょう。

 

相続人ごとの相続割合

配偶者や第1~3順位の法定相続人は、それぞれ法定相続分と呼ばれる相続割合が決まっています。被相続人に配偶者がいない場合、相続人の人数で遺産を等分にすれば完了です。配偶者がいると下記の通り分配されます。

 

血族相続人

血族相続人の相続分

配偶者の相続分

子ども

1/2(全員で等分)

1/2

父母(直系尊属)

1/3(全員で等分)

2/3

兄弟姉妹

1/4(全員で等分)

3/4

 

たとえば相続人として妻(母)と子ども2人がいるとします。

 

被相続人の遺産である預金1,200万円を法定相続分にのっとり相続することとなりました。妻(母)は1/2受け取れるため600万円を引き継ぎます。

 

残り1/2は子どもの相続分ですが、2人いるため1/4の300万円ずつ引き継ぐ計算です。同様のケースで子どもが3人であれば200万円ずつ引き継ぎます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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