(※写真はイメージです/PIXTA)

『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)著者の小林義崇氏は、国税専門官時代に相続税調査を担当していた際、富裕層にある共通点を発見したそうです。今回は小林氏が感じた富裕層の共通点と、国税専門官時代に遭遇した「例外的な富裕層」の税務調査エピソードを解説します。

税務調査官「今回はハズレだった」の真相

先輩が調査していた案件は、生前の収入などに比べて申告された相続財産があまりに少なく、“隠し財産”が見込まれるものでした。

 

ところが、意気込んで相続税調査のため自宅に出向いたところ、残された奥さんから聞かされたのは、「亡くなった夫は競輪にハマってしまって……」という愚痴だったそうなのです。

 

仕事を引退した後、老後の趣味として競輪をやってみたら、のめり込んでしまったとのこと。そうした説明をして奥さんが見せたのが、競輪のハズレ券が詰まった袋だったそうです。

 

その袋のなかから大量のハズレ券をとり出して、負けた金額を電卓でざっと計算した先輩職員は、「それはご苦労されましたね……」といって引き上げるしかなかったほどの金額だったそうなのです。

 

このようにギャンブルで資産を大きく減らすような事態は絶対に避けたいところですが、もし実際に起きてしまったら、あの奥さんのように「ギャンブルで負けた」という証拠を残しておかなくてはいけません。なぜなら、国税調査官は「もっと財産があるはず」という想定のもと相続税調査をしているからです。

 

この意味から、ギャンブルなどで財産が失われているのであれば、その事実を示すことが求められます。

 

たとえば亡くなった被相続人が競馬で大負けしたのであれば、その負けた履歴を示せば、税務職員が「これ以上調べても財産は出てこない」という判断に至り、相続税調査は早く終わるでしょう。このように財産を失った証拠を残しておくことは、遺産分割でもめるのを避けるためにも役立ちます。

 

遺産分割の場面では、相続人同士で疑心暗鬼になりがちです。亡くなった被相続人の預金残高があまりに少ないと、離れて生活をしていた家族から「もっとあるはずだ。隠しているだろう」と思われかねません。

 

富裕層の家庭では、家族が心のどこかで遺産に期待をするのは無理もないでしょう。なかには、遺産をあてにしている人がいるかもしれません。そのような状況で、フタを開いてみたら財産がなかったとなると、やはりトラブルにつながることは容易に想像できます。

 

ありもしない財産を理由に家族が争うとしたら、これほど残念なことはありません。お金の失敗について子どもたちに明かしたくない気持ちはわかりますが、後でトラブルが起きることを考えると素直に話したほうがいいのです。

 

この事例にならって、私は自分の収入を妻にありのまま伝えています。というのも、お金があるのに無用の心配をかけるのも、逆に厳しい状況のときに過度に期待されるのも嫌だからです。公務員のときと違って収入が一定ではありませんから、きちんと伝えておかないと、いずれ誤解が生じかねません。家族は一蓮托生()の運命共同体ですから、妙な見栄を張ってもしかたがないのです。

 

 

小林 義崇

マネーライター

Y-MARK合同会社代表/一般社団法人かぶきライフサポート理事

 

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元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者

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小林 義崇

ダイヤモンド社

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