戦略的に収入を得ながら年金をもらう
より多くの資産を築くには、できるだけ長く働くことが有効です。ただし60歳以降も仕事を続けるのであれば、「在職老齢年金」のルールを押さえておく必要があります。
在職老齢年金は、60歳以降に在職しながら受けとる厚生年金を意味するのですが、「収入が一定以上になると年金の受給額が減額される」というしくみがあります。つまり、働き過ぎると年金が減って損をする可能性があるのです。
在職老齢年金の対象となるのは、60歳以降も厚生年金に加入する人です。たとえば会社経営者や会社員として、60歳以降も働き続ける人は注意する必要があります。
ここで意識しておきたいのが、受けとる厚生年金(加給年金額を除く)と、総報酬月額相当額の合計を47万円以内に抑えることです。難しいいい回しでわかりにくいかもしれませんが、とりあえずは「1ヵ月あたりの年金と賃金の収入が47万円を超えないようにする」と考えてください。
この在職老齢年金のルールとともに押さえておきたいのが、年金の受給開始時期は繰り下げ・繰り上げが可能ということです。
受給開始時期を繰り下げる、つまり遅くずらすことによって、1年あたりの年金の受取額を増やすことができます。逆に早める(繰り上げ)と、年金が減ることになります。
繰り下げによって増やせる年金は、繰り下げた月数に0.7%をかけた値です。現在の法律では最長で10年間(75歳まで)繰り下げられるので、そこまで伸ばした場合、年金の受取額を84%増やすことができます。
このようなルールから、「年金は繰り下げたほうが得」と思うかもしれませんが、そうとはいい切れません。人の寿命には限りがありますから、年金の受給開始時期を遅らせると、年金をもらえる期間が短くなります。つまり、いつまで生きるかを予想しないと、最適な受給開始時期を決めることはできないのです。
そこで1つの目安となるのが、平均余命の統計です。厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況」によると、65歳時の平均余命は男性が19.83年、女性が24.63年となっています。
ここから、65歳の男性は85歳0ヵ月まで生き、女性は90歳0ヵ月まで生きると仮定します。この仮定に基づいてシミュレーションをしたところ、次の時期に年金をもらいはじめると、年金総額が最大になるということがわかりました。
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