(※画像はイメージです/PIXTA)

「仕組債」とは、スワップやオプションなどのデリバティブ(金融派生商品)を利用することで、一般の債券にはない仕組みが付加された債券のことを指します。本記事では、仕組債の主な種類や構造とともに、投資する際に知っておくべきメリット・デメリット、特有のリスクについて解説します。

仕組債とは?

仕組債(しくみさい)とは、金融市場で取引されている債券の一種です。一般的な債券とは異なり、特別な仕組みを持っています。

 

この仕組みとは、デリバティブ(金融派生商品)であるスワップやオプションなどを利用して、投資家や発行者の要求に応じたキャッシュフローを生み出すための構造を指します。これは仕組債特有の構造で、クーポン(利子)、償還金などを比較的自由に設定することが可能です。

 

ここでは、まず仕組債の主な種類や、それぞれの特徴について解説します。

 

EB債(他社株転換可能債券)

EB債(Exchangeable Bond)とは、他社株転換可能債券と呼ばれる仕組債です。債券であるにもかかわらず、償還日までの株価変動に応じて、償還金の代わりに発行体とは異なる会社の株式(他社株)が交付される可能性があるという特徴を持っています。

 

定期預金や一般的な債券(個人向け国債など)に比べて、利率が高めに設定されているのが魅力です。

 

EB債の償還方法には、以下の2通りがあります。

 

・現金償還
・株式償還

 

ただし、投資家が、償還方法を選択することはできません。満期償還前の判定日に、対象となる株式の株価があらかじめ決められた価格(当初価格)以上の場合は現金償還となり、当初価格未満の場合は株式償還となります。また、転換される株式の銘柄もあらかじめ決められています。

 

日経平均リンク債等

続いて紹介するのは、日経平均リンク債に代表される「リンク(株価指数連動)債」です。リンク債は、基準日からの株価指数の変動率などによって、償還金額や利率が変動するという性質を持っています。

 

たとえば、日経平均リンク債には、以下の2種類の商品があります。

 

・償還金額が変動する日経平均リンク債
・利率が変動する日経平均リンク債

 

リンク債は、あらかじめ定められている判定日において、株価指数が一定の範囲以内で推移していれば、通常の債券と同じような運用になります。さらに、通常の債券よりも利率が高いため、効率良く運用できるでしょう。

 

注意すべきなのは、株価指数があらかじめ決められた水準を下回った場合で、この状態を「ノックイン」といいます。償還金額が変動するタイプのリンク債の場合、ノックイン後は償還金額が株価指数に連動して変動するため、元本割れしてしまうリスクがあります。

 

パワー・リバース・デュアルカレンシー債

パワー・リバース・デュアルカレンシー債(PRDC債)とは、購入代金・償還額の通貨と、利払いの通貨が異なる債券の一形態で、利回りを高めるために、利率部分に手が加えられたものを指します。基本的に、購入代金・償還額の通貨は日本円、利払いの通貨は外貨です。

 

パワー・リバース・デュアルカレンシー債には、定期預金や通常の債券(個人向け国債など)と比較して利率が高いというメリットがあります。為替の影響を受けるため、円安になればさらに利率が高くなりますが、円高の場合は利率が低くなってしまう恐れもあります。

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