(※写真はイメージです/PIXTA)

自己破産は、借金によって生活困難に陥った方にも再チャレンジの道を与えるという債務整理の方法のひとつです。失敗してもやり直せる社会であることが、社会全体の利益につながるという考えに基づく制度です。しかし、借金を返済してもらえないという債権者の犠牲のうえに成り立つ制度であるため、恩を仇で返すような行動をすれば、そのしっぺ返しは大きくなります。実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、自己破産手続中のあるべき行動について、永野達也弁護士に解説していただきました。

以上のとおり、ギャンブルや浪費が原因であっても免責を受けることは可能です。では、ギャンブルや浪費が原因で自己破産を申し立てた場合、どのような手続が採られるのでしょうか。

 

通常は、裁判所における裁量免責の検討のため、破産管財人が選任されます(免責調査型の管財事件)。そして、破産者は、破産管財人から資産や免責不許可事由について質問された場合、これに回答する法的義務を負います(破産法40条1項1号、250条2項)。

 

また、破産者は、2泊以上(海外の場合は1泊以上)の外泊をする場合には、事前に裁判所の許可を得なければなりません(破産法37条1項。なお、東京地裁の場合は破産管財人の許可で足りる運用です。中山孝雄・金澤秀樹編『破産管財の手引〔第2版〕』(金融財政事情研究会、2015年)133頁)。

 

破産者が事前の許可なく海外旅行をした場合、破産法上の義務違反として免責不許可事由になります(破産法252条1項11号)。

 

破産者が海外旅行をする場合に、当然に破産管財人に通知されるといった制度にはなっていません。しかし、たとえば、破産管財人から破産者に対して資産や免責不許可事由について質問しようとしたところ海外旅行中のため連絡がつかなかったり、債権者等から「破産者が海外旅行に出かけた」旨の情報提供があったりして、破産管財人が破産者の海外旅行に気づくことは十分ありえます。

 

また、このような場合、破産管財人から破産者に対して、事実関係の確認のためにパスポートの提示を求めるなど、動向を確認することもありえるでしょう。

 

このようにして、破産者が事前の許可なく海外旅行をしたことが発覚した場合には、これによって資産等の調査に支障が生じたかといった他の事情も考慮したうえで、破産管財人が免責不許可相当との意見を裁判所に提出することもありえます。

 

そのため、どのような事情があるにせよ、事前の許可なく海外旅行をするべきではありません。

しかし、事前の許可があれば…

前述のとおり、事前の許可があれば、破産者は海外旅行をすることもできます。

 

そして、裁判所(破産管財人)は、海外旅行等が破産手続に重大な支障を生じさせるおそれがあるといった事情がない限り、基本的に許可をすべきと考えられています(伊藤眞ほか編『条解破産法〔第3版〕』(弘文堂、2020年)331~332頁)。

 

したがって、破産者は、破産手続中に海外旅行に行く場合には、念のため旅行期間中の連絡手段(電話やメール等)を確保したうえで事前の許可を申請すれば、基本的には許可を得られるでしょう。
 

 

 

永野 達也

弁護士

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